【1月号】水産マンスリーレポート

明けましておめでとうございます。
毎度格別なお引き立てに賜り心より御礼申し上げます。
本年も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。
商品情報2024年1月号をお届けします。

サンマ

◆国内サンマ棒受け網
全さんまによる11月末現在のサンマ水揚げ集計が公表されました。前年同期比で135%の24,046トン
となり、量では3年ぶりに2万トン越えとはなったものの、依然かなりの不漁水準下にはある。逆に秋
刀魚のサイズ組成小型化が影響し、水揚げ金額は昨対28%低下し、キロ460円台となった。12月7日
に26隻が三陸での水揚げを終え、そのままほとんどの船は今期の操業を切り上げた。残り引き続き操業
を予定していた船も、直後に時化が続いたため、これらの船も結果的には出漁できず、同じく今期のサ
ンマ漁はこのまま終漁した。
こういった不漁継続の中、日本の水産庁とロシアとの両国におけるEEZ内サンマ漁獲枠についてオンラ
イン会議が行われた。日本船がロシアEEZ内でのサンマ漁獲枠は、24年シーズンは6,000トン減の
44,000トンと設定されたが、シーズン通して日本海域・EEZ外での漁獲量を超えた枠組みは、ほとんど
規制の意味は成さないとされている。

◆台湾サンマ船凍船
11月下旬にはほとんどの台湾船凍船は、高雄での船凍秋刀魚水揚げに向け操業を終え帰港を開始し、12
月に入り水揚げが本格的に開始されています。日本からも秋刀魚のプレイヤーが水揚げされる船凍秋刀
魚の検品と、原料買い付けのため現地入りしましたが、日本人の買い付け目的である3號以上のサイズ
が、小型化の影響にて昨対40%程度減少。また日本国内では販路が極端に限られている、4~5號サイズ
の抱き合わせ買い付けを回避するため、結果的に日本側の希望サイズのみでは、予想外での高値買い付
けを飲むしかない状況にとなっている。

サ バ

・大西洋サバ
冬のトロールシーズンが1月頭から開始予定です。
現地の在庫は一部大型を残し、ほぼ完売との報告。
引き続き需要高が予想され高値を引きずったまま突入すると考えられます。
先月に引き続き製品は徐々に安物が市場から消えつつあり、新物価格に向けて徐々に値段を上げてきて
いる商社も見受けられますが、本格的に上がりきるのは中国、ベトナムなど加工地の旧正月が終わる来
年春頃になりそうです。

・国産サバ
先月に引き続き若干の水揚げが続いていますが、100-250gが中心と小型で延縄餌用、缶詰用で一部取引
がされているようです。水揚げは散発で未だ相場帯は見えてきておりません。

鮭鱒類

・チリ銀鮭
銀鮭は現地からのオファーがあるも、日本側の受け入れが弱く、委託販売が続いています。ドレスは
大型化にて一部買い付けにて購入した原料が委託価格よりも安く出回り始めている。年明けの委託価格
の単価に注視が必要です。トリムに関しては相変わらず引き合いが強く、各社値上げをしていますが、
大きな値上げには踏み込めず、1割程度の値上げとなります。

・トラウトサーモン
チリ現地の価格は高いものの、日本国内の在庫が滞留しており値上げにつながっていません。しかし
銀鮭の値上げもあり、年明けから相場が少しずつ強くなる予想です。ドレス原料は高値にて安定してお
り、トルコ産などの原料での代替がみられる。

・アトランティックサーモン
クリスマス、年末需要にて現地価格は高騰しております。日本国内での生鮮アトランの出荷が始まって
いますが、まだ大きな数量の出荷が見込めない為、ノルウェー産アトランの需要はしばらく高いと思わ
れます。

サワラ・サゴシ

・中国サゴシ
前シーズンは極端な不漁でしたが、今シーズン新物は例年並みの水揚状況です。

・韓国原料
韓国は約15,000mtの水揚げで昨対とほぼ変わらず、このまま横ばい予想です。
サイズは満遍なく獲れています。

・日本産
日本海にて小型サイズ400-600gの水揚げが10月下旬以降にあり、
一部は原料凍結にも入りました。小型サイズの割に価格は高めになっています。
但し、11月下旬以降は水揚げが減少し、鮮魚出荷主体となっています。

・サワラサゴシ製品
国内の荷動きは、春の需要期に向けて活発化してくる見込みです。
春需要に向けて荷動きは徐々に向上してきています。
新物は、前シーズンとの比較で、大型サイズ減少、中・小型とサゴシは増加です。

ウナギ

中国現地の値上げもあり、日本国内は高値にて水準をキープしております。12月から始まりましたシ
ラスウナギの漁模様は大きな漁獲量の情報もなく、国内、中国共に様子見の状態との事です。
活鰻は若干の値上げとの事ですが、シラス次第では今後の水揚げ単価の変動ある為、中国の旧正月明
けの加工鰻の状況に注視する必要があります。

カニ

〇ズワイガニ
来年を考えると供給量は少なくなると推察される状況から、特に、大型サイズを中心に引き合い強く、
相場は強含みにて推移すると思われます。

・アラスカ
今期もクローズとなった米国(アラスカ)産オピリオズワイガニ漁、結果、大型のバルダイ種だけとな
りました。米国内には高コスト在庫が残っている様子で、年末商戦でどれだけ減るか注視します。

・ロシア
ロシア産、極東オホーツク海漁獲分の入札が行われました。入札の都度、オークション価格は上昇傾向
です。来期、中国、韓国向けの販売を主体に活出荷の割合が占める為冷凍品の搬入減が見込まれます。

・ノルウェー
今期も1月1日からオープンとなりました。その漁獲枠10,300トン(調整が行われて、実質9,758トン
(昨年7,760トン))。オリンピック方式でスタートされる為、大型船が有利とのことから早めのシーズ
ンクローズの可能性があり、価格の動向が注視されます。

〇タラバガニ
・アラスカ
米国(アラスカ)産タラバガニ、僅かな製品出来高の為13,000~12,000円/kg程度の価格で取引がされ
ました。日本への搬入は僅か50mt程度と予想されます。

・ロシア
中国/韓国向けの活が主体となっており冷凍品の日本への搬入は昨年よりも減少が見込まれます。

・ノルウェー
来期漁獲枠が半減(956トン)し3-4月が禁漁となります。各産地ともに搬入が非常に限定的であるこ
とから、強含みにて推移すると思われます。

冷凍野菜(中国)

小松菜、チンゲン菜は順調に終了しましたが、ほうれん草は若干ながら寒波の影響を受け、原料価格は
堅調に推移しています。余力は少ないですが日本向けの契約は概ね履行されそうです。
ブロッコリーの状況は良好であり原料価格は下方修正。カリフラワーも生産は順調ですが、当品は昨季
が余りに安かった為、原料価格は上方修正の傾向です。
人参は内モンゴル原料が順調に収穫終了。福建省も天候被害なく生育は順調につき価格は落ち着いてい
ます。
全体としては現地価格の上げ下げは緩やかな範囲であり、今後の販売価格は為替レートの状況次第です
が、里芋、ブロッコリーについては単品での下方修正も想定されますので留意ください。

スルメイカ(中国)

10月から11月にかけてのスルメイカ新物価格高騰が確定し、国内在庫は品薄、相場は急騰しました。
12月現在もその状況は変わらず、特につぼ抜きで50尾以上の大型は産地、国内共にフリー在庫が殆ど
無い状態です。
赤いか関係については、唐揚げなどの加工品に使用する200-500g程度の小型原料が少なめではあるもの
の比較的安定しており、原料相場は昨年から横ばいとなっております。

アサリ

今年の水揚げ数量は昨年比増となっておりますが、生育が良くなく数量の大きな伸びは見られませんで
した。先月と変わらずアメリカ向けの輸出が滞っているため大型サイズは荷動き悪く、若干の弱含みで
す。小型サイズは中国国内での販売が堅調なため横ばいでの推移が続いております。
日本国内販売価格は、全体的に殻付き、むき身ともに横ばいにて推移中です。

パンガシウス

荷動きの悪さから、現地各社から相場弱含みな状況となっております。
2月にはテトが控えているため、その前にオーダーはある程度集中するかと思われます。
為替の影響もあり、今後一段後販売し易い環境になっていくと思われます。
他魚種に比べ、集荷、値段を含め扱いやすい魚種となっており、来年は、量販・介護食・外食向けにと
今まで以上に取扱いに注目される魚種になる予想されます。

スケソウダラ

11月1日にDAPスケソウ操業終漁。
ベ海(工船、陸上)はほぼ満枠達成であったが、ア湾の一部エリアで80-90%と枠を残し終漁。
2024年シーズンについては、ベ海、ア湾ともに資源評価20%前後増、50%前後増となっておりますが、
スケソウダラ枠については今後の割り振り次第となっております。
国内フィーレ需要については、横ばいで推移中。
中国在庫の原料も多いことから、円安ながらも製品相場は横ばいから弱含みで推移中。

日米各種指数の推移

各種指数の推移

202401日米各種指標の推移

米国と日本の景況感
日経平均株価は年初来+27.1%と33年ぶりの高値をつけています。
日本企業の業績は良く、東証プライム上場企業の内16%の株価が年初来で最も高くなっています。この
要因としてはアメリカの長期金利の上昇に落ち着きが見えたことがあげられます。米国の10年国債の金
利は10月に5%近かったものの、11月は4.26%と落ち着いており、今後の金融引き締めが鈍化するの
ではないかと予想され米国の株価が上昇しました。それに伴い日本の株価も上昇、また、金利差が縮ま
ることで円高が進みました。
日本政府としての景気判断も「足踏みがみられるものの緩やかに回復している」とみており、インフレ
などのリスク要因があるものの今後の景況感は比較的楽観視されています。
なお、10月の消費者物価指数は+2.9%と高く、政府の電気・水道・ガソリンの抑制策が無ければ3.4%
と3%台のインフレとなっていました。
2023年10月の実質賃金は-2.4%と18か月連続のマイナス水準で、企業は儲かっているものの個人の家
計状況はより厳しくなっています。
また、11月は7-9月分のGDPの発表がありました。最新のGDPは昨年同月比2.1%減と三期ぶりのマ
イナスでした。これは物価高の影響が大きく、今後の日本国内の持続的な景気拡大には、企業の賃上げ
が大きく影響していくと予想されます。

用語
日経平均株価指数…日本を代表する上場企業225社の株価の平均値。
S&P500指数…米国を代表する上場企業500社の時価総額を指数化したもの。
CPI…消費者物価指数。末端価格の変動を示す指標。
長短金利操作…長期金利と短期金利の誘導目標を操作し、金利を適切な水準に維持すること。

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