【12月号】水産マンスリーレポート

毎度格別なお引き立てに賜り心より御礼申し上げます。
商品情報2023年12月号をお届けします。TOPICS!!
☆鳥インフルエンザが昨年に引き続き再燃。今後の鶏卵価格はどうなる?
☆為替は146円代まで戻すも、未だ不安定。

サンマ

◆国内サンマ棒受け網
全さんまによる10月末現在のサンマ水揚げ集計が公表されました。前年同期比で140%の15,470トン
で、量では過去最低水準であった前年を上回る水準にはあるものの、今後の水揚げ推移を考慮すれば依
然としてかなりの低水準の状態からは脱却できそうにない状況です。またサイズ組成が昨年よりさらに
小型化したことが要因で、シーズン終盤においても未だ鮮魚相場は崩れず、若干組成の良いものは依然
として高値継続。逆に組成の良くない小型サンマが目立つものは、極端な場合同じ水揚げ港でもセリ値
が3倍の値差が出るような状態となっている。100g前後サイズまで鮮魚出荷される関係にて、冷凍原料
は100g以下の小型サイズしか生産されておらず、また缶詰用に向けるような60/80gの在庫が産地で
は滞留する結果を招いている。

◆台湾サンマ船凍船 操業24週目

2023年台湾サンマ24週目

11月下旬に差し掛かり、多くの台湾船凍船は高雄での水揚げに向け、操業を終え帰港を開始しました。
昨年と比較すると、日本の漁獲内容と同様に水揚げ量は昨対117%と増加も、組成は小型化に傾向。日
本向けに引き合いが強い3號以上のサイズは、22年59.7%➡今期36.2%まで低下。またサンマ買付の引
き合いは日本以上に中国・韓国も強めており、今期は韓国からの一船買いに応じる台湾船は、高雄を経
由せず直接韓国にて水揚げをする船も出ている。台湾船の操業隻数も、数年前の90隻余りから60隻程
度までサンマ操業を取り止めている状況で、来期以降もこのサンマ不漁が継続する状況下では、さらな
る減船が見込まれる雰囲気となっています。

サ バ

・大西洋サバ
秋シーズンは終漁致しました。
現地の在庫は一部大型を残し、ほぼ完売との報告。
年明けも需要高が予想され高値を引きずったまま突入すると考えられます。
製品は徐々に安物が市場から消えつつあり、新物価格に向けて徐々に値段を上げてきている商社も見受
けられますが、本格的に上がりきるのは中国、ベトナムなど加工地の旧正月が終わる来年春頃になりそ
うです。

・国産サバ
先月に引き続き若干の水揚げが続いていますが、100-250gが中心と小型で延縄餌用、缶詰用で一部取引
がされているようです。水揚げは散発で未だ相場帯は見えてきておりません。

鮭鱒類

・チリ銀鮭
各社、チリ現地との交渉が難航しており、委託販売待ちで11月からスタートしました。
日本国内の庫腹逼迫、現地水揚げ遅れにより国内への搬入量は少ないですが、需要も追いついておらず
引き合い弱く感じられます。11月価格はほぼ横ばいにて大きな変動ありませんでしたが、今後もほぼ横
ばいでの相場になると考えます。
トリムCは売れ行き好調で搬入が追い付いていない為、各社在庫薄となり、国内相場が強くなっていま
す。新物搬入があったアクアチリしか出回っておらず、年明け搬入が最盛期となりそうです。

・トラウトサーモン
まだ安価なトリムが各社在庫ある為、大きな相場変動はありません。
しかし、銀鮭トリムの引き合いが強くなっていることから、今後の市況は徐々に強くなって行くものと
予想します。

・アトランティックサーモン
生鮮のアトランが高騰している事から、国内の安価なトリム製品が少なくなっておりチリ現地の水揚げ
単価も高い為、徐々に相場が強くなってきております。為替が円高にならない限り、年明けも高値維持
かと思われます。

九州水揚げ情報(松浦・長崎)

◎大型旋網(松浦・長崎)
スタートは西沖漁場のアジ主体の水揚げ。50-70mt/日の水揚げで140-180gがメインサイズ。
買い手は鮮魚、生切向けが多く、@350-450/kgで相場形成中。
西沖245区漁場で鯖主体の水揚げが数日あり。その際は450-550mt/日。
サイズは150-300gのローソクサバ中心で浜値@120-140/kgの高値推移でマグロ餌向けがメイン。
その中には350-500gが少量あり脂質悪くなく@200-450/kgで鮮魚・〆サバ原料向けの買付でした。

◎小型旋網(松浦)
ゴマローソクサバ250-300g主体の水揚げで@130-150/kg。マグロ餌向けがメイン。

・長崎
アジ主体の水揚げで鮮魚・生切向けの買付。@370-750/kg。

・長崎底曳物
レンコダイ主体の水揚げで時化絡みもあり週に1-2日の水揚げ。3-5mt/日。
浜値@450-250/kgで鮮魚主体の流通。

サワラ・サゴシ

・中国原料
中国水揚げは約45,000mtで昨対150%ですが、中国国内の内販もまずまず販売進んでいるため若干の浜
値下げ。500-600gが中心サイズとなっています。

・韓国原料
韓国は約15,000mtの水揚げで昨対とほぼ変わらず、このまま横ばい予想です。
サイズは満遍なく獲れています。

中国、韓国共に11月を持って本生産終了とのこと。

・日本原料
日本海にて小型サイズ400-600gの水揚げが10月下旬以降にあり、
一部は原料凍結にも入りました。小型サイズの割に価格は高めになっています。
但し、直近では水揚げ減少しており、鮮魚出荷主体となっています。

・サワラサゴシ製品
大型サイズは引続き入荷安定しており、中・小型サイズは前シーズンの不漁により入荷数量が少ない状況
です。国内は値上げが通りにくい状況ながら、年末年始と春需要に向けて荷動きは徐々に向上してきて
います。

ウナギ

・中国産
中国現地での需要高から現地オファー値が高くなっており、かつ円安によって高値に拍車がかかってい
る状況です。現在のオファー値で輸入すると日本相場の1割以上高くなってしまうようです。
その為、日本国内の在庫が少なくなっており、今後は強含みでの推移と予想します。

・国産
相変わらず活鰻での流通が順調ではありますが、蒲焼加工の加工屋への販売が進まなかった為、若干相
場は弱くなっております。12月からのシラス漁解禁、12月の漁獲量次第ではまた大きく相場が変動する
可能性ありますので注視が必要です。

カニ

〇ズワイガニ
・日本
11月6日、日本海で解禁となった松葉(越前)カニ漁、漁獲まとまっており順調にスタートしておりま
す。円安で国外の旅行者増、旅行業界や外食ルートでの引き合いに期待し消費については徐々に増加傾
向です。

・アラスカ
資源状態の悪化から今シーズンは禁漁となりました。

・ロシア
ロシア極東オホーツク産は、今期漁獲枠(約34,000トン)の80%程度を消化し残枠は活中心の操業に
なることが予想されるため年内にまとまった数量の搬入は薄い様子が伺えます。
その中で、来期に向けた気になる情報として、活ガニの高値取引と入漁料の高騰から、冷凍品を扱う漁
船が減産・限定となり搬入見込みは薄いとの情報です。
小型サイズ中心のバレンツ海産が主流となる見通しで注視が必要です。

・ノルウェー
また、1月1日開始されるノルウェー産については、未だ相場固まっておらず、漁の解禁まで注視が必
要です。最大の需要国のアメリカの動向によっては今後やや強含みにて推移すると予想します。

〇タラバガニ
・アラスカ
2年ぶりに枠が発給され原魚ベース975mtが行われました。米国では、ロシアの禁輸が続いていること
から引き合いが強く、高値で取引が行われ対日搬入数量は限定的でした。

・ロシア
9月1日よりスタートしていますが、活主体の生産となっており、冷凍の生産は限定的でバレンツ海物
に期待する状況です。今期のノルウェー産は満枠(2,863トン)を消化見込みですが、来期は半減(983
トン)が確定しています。従って、相場は強含みにて推移すると予想します。

冷凍野菜(中国)

山東省は日中の気温は高めに推移してきましたが、降水量は例年並みであり葉物類、里芋類の作柄は順
調です。浙江省、江蘇省も例年並みの気温で推移しており、ブロッコリー、カリフラワーの作柄も順調。
12月より収穫が開始されます。
今秋は概ね天候に恵まれており、減反による高騰や作柄不良といった商材はありません。
年内に積雪被害が無い限り、例年並みの作柄にて収穫、生産が終了するものと思われます。
多くの商材の生産時期となっており、新物ドル価が出揃うのは年末となります。
日本国内の販売価格は、USD:146~150円内で推移中は横這い予想。新物ドル価が確定後、年明けの為
替状況に応じて新価格へと移行していく事が見込まれます。

スルメイカ(中国)

11月初旬にスルメイカの今年度水揚げ量がある程度固まり、中国全体で昨年の3分の2程度となりまし
た。先月の予想通り原料価格は高値のまま推移し、今後の値上がりを織り込み国内の製品相場は急激に
高騰しました。特に、大型原料が少なかったことからツボ抜きの大型サイズ(40尾以上)は各社販売を絞
り、流通量が激減しました。今後、スルメ製品価格は昨年と比較して2割から3割程度の値上がり、ス
ルメ価格上昇に伴いマツイカ製品も価格が高騰、引き合いが強くなることから品薄が予想されます。

アサリ

秋漁も終盤となっております。
今年の水揚げ数量は昨年比増となっておりますが、生育が良くなく数量の大きな伸びは見られませんで
した。先月と変わらずアメリカ向けの輸出が滞っているため大型サイズは荷動き悪く、若干の弱含みで
す。小型サイズは中国国内での販売が堅調なため横ばいでの推移が続いております。
日本国内販売価格は、全体的に殻付き、むき身ともに横ばいにて推移中です。

パンガシウス

主要販売先であるアメリカからのオーダーが予想より少なく荷動き悪い模様です。
小規模なパッカーから換金目的の安価なオファーもありますが、限定的と思われます。
中国/アメリカの動き次第では大きく状況変わりますので動向に注視が必要です。

スケソウダラ

11月1日にDAPスケソウ操業終漁。
ベ海(工船、陸上)はほぼ満枠達成であったが、ア湾の一部エリアで80-90%と枠を残し終漁。
2024年シーズンについては、ベ海、ア湾ともに資源評価20%前後増、50%前後増となっておりますが、
スケソウダラ枠については今後の割り振り次第となっております。
国内フィーレ需要については、横ばいで推移中。
中国在庫の原料も多いことから、円安ながらも製品相場は横ばいから弱含みで推移中。

日米各種指数の推移

各種指数の推移

202312日米各種指標の推移

米国と日本の景況感
日経平均株価の年初来推移は一時30%以上の値上がりを見せていましたが、直近は20%前後と落ち着
いてきております。
なお、日本の上場企業の業績はかなり良く、2023年4月~6月上期の純利益は約13兆円と前期比+
47.1%、年間利益予想は3期連続で最高益更新見込み、配当金は全体の3割の企業が増配を予定してい
ます。
製造業は原材料価格の値上がりが一服し、製品への価格転嫁が進んでいること、非製造業は外国人観
光客の増加から宿泊やサービス業が大きく回復したことなどが要因で実質経済も回復を見せています。
しかし、23年8月(最新)の実質賃金指数は-2.5%と17か月連続でマイナスとなっており、日本国民の
購買力は低下しています。
このことから、日銀は今回の金融政策決定会合でインフレの抑制を目的に長短金利操作を修正し、長
期金利1%越えを容認しました。
しかし、米国はFOMCで政策金利を5.25%から5.5%と2か月連続で据え置きすることを発表しまし
た。米国のインフレが一旦落ち着いてきた様子ではありますが、日本との金利差が大きいことに変わり
はないと市場が判断し、さらに円安が進みました。

用語
日経平均株価指数…日本を代表する上場企業225社の株価の平均値。
S&P500指数…米国を代表する上場企業500社の時価総額を指数化したもの。
CPI…消費者物価指数。末端価格の変動を示す指標。
長短金利操作…長期金利と短期金利の誘導目標を操作し、金利を適切な水準に維持すること。

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