【9月号】水産マンスリーレポート

毎度格別なお引き立てに賜り心より御礼申し上げます。商品情報2024年9月号をお届けします。

 

〇九州前浜

  • 大型船

8月は西沖漁場での漁獲となり、

90-250g : 1,200mt

水温が30℃を超え、鮮度悪い物が多い。

浜値500~180円/kg(鮮魚・フライ)

 

  • 松浦小網

エンマキ冷蔵庫も落ち着き、冷凍可能となった。

ローソクサバ(8月水揚げ300mt)

250-350g : 118~65円/㎏

ゴマローソク(8月水揚げ350mt)

450~550g : 130~85円/㎏

マイワシ(8月水揚げ1,000mt / 餌料用)

30~40g / 75~40円/㎏

・ブリ(8月水揚げ100mt)

4.5~5.0kg/1尾 : 浜値300円~180円/kg / 鮮魚用

 

  • 長崎小網

・イワシ(8月水揚げ1,140mt)

60~80g: 150~100円/㎏(鮮魚用)

・小ウルメ(8月水揚げ1,000mt)

60~80g: 75~45円/㎏(餌料用)

・アジ(8月水揚げ350mt)

鮮度良・身脂無し

70~110g : 350~230円/㎏(生切り用)

 

 

〇サンマ

・国内船

今シーズンのサンマ初水揚げが昨年より3日早い8月16日、北海道花咲漁港にて66.9トンが水揚げされました。翌17日にも573.4トンが水揚げされ、昨年の初水揚げの1.2トンからは大幅な水揚げ増、浜値も昨対では一気に下げ相場となり、またサイズ感も昨年より100gUPの魚体が多めの組成であったため、「今シーズンは豊漁で、且つ大きく安価なサンマが食べごろ」といった報道が紙面を賑わせました。但しこれは、今期からは遠いEEZ外のサンマ漁場まで航行能力に長けた大型船が、昨年までは小型船のみが出漁を許されていた8月10日より前倒しで操業を許可されたことによる、初操業からの漁獲急増が背景にある。また昨年よりも近海寄りに魚群が形成されていることも水揚げ増につながってはいるが、水産資源研究所がとりまとめた結果による予測では、現在の漁場で日本寄りに形成された魚群には1歳魚の割合は多いが、東経160°から2区にかけて分布する群れはほぼ当歳魚の組成で形成されており、今後漁期が進むことで、サイズが小型化することも懸念されている。

 

・台湾船

8月末現在、台湾船は60隻が操業中で、昨年より不漁による減船が予測されていましたが、実際は同時期比較10隻程度多く操業中となっている。しかし同じく同時期比較では、水揚げ総量が14,000トン弱と、漁獲量自体は8割弱まで減少している。さらに同比較となりますが、今期漁獲サイズで大型の2號サイズが極端に少ない組成に加え、日本ではあまり使用実績がない4號サイズが倍増しているという中間結果です。このままのサイズ組成が継続するか否かは不明ながら、今季日本からの買い付けでは4號サイズの取り扱いが焦点となりそうな雰囲気です。

 

独自集積データ(操業開始~8月末)

 

 

〇ズワイガニ

・ノルウェー

3月末で終了したバレンツ海ノルウェー産。

終了後、政府の管理強化の為全ての漁船のライセンスがリセットされました。

2025年度からは、新たな条件を元に操業が行われる予定です。

今のところその条件が明らかになっていないため今後の政府の発表を待つところです。

 

・カナダ

6月末で満枠を消化しクローズとなったカナダ産ですが、米国向けに大型サイズを中心にセクションの商談は順調さが伺え、日本向けは僅かな様子。そんな中、日本向けは生脚とその端材の扱いに集中し商談が進み年末に向けた製品化が進んでいます。

 

・ロシア

7月中旬の海の日で休止したロシア産。2024年度も多くが活で取り引きされ中国、韓国、東南アジア向けで扱われました。一方の冷凍品の多くは生冷の注文品で、ボイル冷はオークションで取引された。今後消費のピークに向けて製品化が進むと予想されます。

以上から、加工用に仕込まれた安価なヒネ在庫も徐々に払底にあり、準じ消化が進み、新物に入れ替わると予測されることから、今後、相場は徐々に強含みに推移されると推察します。

 

 

〇タラバガニ

・ロシア

昨年の極東ロシア産オホーツク海ものの搬入は限定的であった為フリー玉は皆無で市場に見当たりません。

 

・ノルウェー

漁獲枠は半減されたことにより、扱い量は限定されると推察します。

8月から開始されたものの小型が漁獲され安価で取引されている状況です。

今年9月から漁が本格的に行われる極東オホーツク海ものの荷動きに注視が必要で、まだ大きな荷動きはないことから、現状は横這いにて推移すると思われます。

 

〇樺太ししゃも

原料高、円安基調で各魚種の製品は毎年価格を上げている中で、ししゃもの製品はこの3年製品の値上げや規格変更は行っていません。

塩干商品の販売が減る夏場でも、樺太ししゃも干しや焼きシシャモ味醂を中心に販売は安定していると考えます。

在庫位置としては少し不足気味ですが、海外加工の製品を中心に滞りなく回転しています。

来期はアイスランドの漁獲の有無やノルウェー産の原料の小型化、為替事情等の懸念材料を踏まえると製品の値上げの可能性はあります。

2025年の冬から春にかけて原料の新物価格が判明し、価格改定があるとすれば遅くとも夏以降と考えます。

 

〇鯖

・大西洋

少し時期は早いですが水揚げ開始されております。

前年に比べ漁獲数量は纏っており、サイズは450g前後と大型。

漁場はオーレスンド地区から約13時間のところに形成されております。

まだ餌食いがあり、時季的に早いことから加工用には向かないと予想されます。

価格面は昨年より1割強高く、今後の動きに注視が必要です。

 

製品は新物の値段が高い為今後、相場は強含みで推移すると考えます。

 

 

〇鮭鱒類

・銀鮭

8月になり、為替が大きく円高に振れたこともあり、若干の相場弱の状況になっております。国内在庫は問い合わせが少なくなり、荷動きが8月後半から止まっている状況です。しかし為替が円高に振れた事に対しチリ現地の原料ドル価も上げてきており、来期シーズンのスタートはさらに大きな円高にならない限り原料価格は現状と変わらないと思われます。トリム製品も新物の警戒感からか、荷動き感が悪くなっておりますが、秋サケが不漁予測となっており、量販店の鮭の切身需要の中心は引き続き銀鮭がメインとなると思われます。

 

・トラウトサーモン

引き続き生産量も少なく、現地からの搬入量も限られております。価格も一時期よりは高騰し、8月に入り落ち着いたものの、年末に向けての商談が進むことで、量販店など大口の消費先の選択をどの鮭に比重を置くかで今後の相場が変わってきそうです。

 

 

〇うなぎ

・中国

ジャポニカ種は相変わらず現地価格が高く買い付けは限定的になっております。また、ロストラータ種も大型も含め中国現地の価格が高騰しており、今年のシラス池入れが少なかった影響が出始めております。

 

・国産

外食などの活鰻の流通は引き続き順調ではあります。しかしながら冷凍加工蒲焼は原料単価高騰から昨年よりも更に高い状況になっております。使用状況も限定的にて荷動きが弱い状況です。

 

〇サワラ・サゴシ

・中国サゴシ

新物水揚は10月スタートの見込みです。

現状荷動き芳しくない状況ですが、秋冬に向けて動きが出てくると思われます。

・韓国原料

新物水揚は10月下旬からスタート見込みです。

原料荷動きは、ベトナム内販向けが堅調なため、価格は横這いの状況です。

・日本産

現在、水揚げ少なく、鮮魚出荷のみの状態です。

11月以降に水揚げが増えてくるとサゴシは原料凍結に入る可能性あります。

 

・サワラサゴシ製品

夏場の荷動きは鈍化しておりましたが、秋冬に向けて上向くと思われますが現状、価格は値上がり魚種が多くみられる中で、横這いから一部サイズでは弱含みの状況です。

サゴシ製品は弱含み、サワラ製品は横這いです。

 

〇アサリ

水揚げ数量としては、昨対増であるため、小型サイズ中心で大型サイズ品薄となっております。

(製品の殻付き51~60粒/500g以下、ボイルむき身のMサイズ以下が中心)。

中国内販は、内陸需要が例年より少なく、荷動き悪い様子です。逆に日本国内の荷動きは、先月同様活発に継続中であります。

9月以降の秋漁は原料供給不安定と予想されておりますので、今後の状況に注目です。

 

〇パンガシウス

ベトナム現地は、主要輸出国であるアメリカ向けが想定より悪く、出荷数量が落ちている模様。それに比べ中国向けが高値で荷動き活発化し始めております。この一か月、為替が大きく変動したことから各社在庫ポジションによって販売価格設定が難しくなっております。今後年末向け需要期も迫る中、現地相場に注力です。

 

〇冷凍野菜(中国)

山東省の8月も引き続き雨量が多かったです。ゴボウ製品のドル価は25%ほど上昇しています。果菜類も同様、緑ピーマン、ナスとオクラも収穫量は減少、ドル価は若干の上昇となります。赤、黄ピーマンは収穫期間が短い為、更に影響が大きく上昇幅は10%ほどが見込まれています。

8月末から南瓜の収穫、葉物類の播種が開始されます。引き続き雨量への警戒が必要な状況です。

 

〇イカ(中国)

豊漁により相場が安定したはずのマツイカ価格ですが、ペルーイカ、スルメイカが不漁なこともありマツイカに買いが集中し、一時は28000元/mt(560円/kg)まで下がった原料価格が、8月下旬以降は年初の32,000元/mt(640円/kg)程度まで戻っています。為替の影響で輸入イカ製品の価格は比較的落ち着いてきていますが、原料事情については全体的にひっ迫した状態が続きそうです。

また、秋にかけてスルメイカ、小型ペルーイカの漁が始まるため今後の動向に注意が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各種指数の推移

指数 値(8月末時点) 値(7月末時点) 増減率
日経平均株価指数 38,647円 37,667円  2.6%
S&P500指数 5,591pt 5,459pt 2.4%
US$/JPY為替 $1=145.28円 $1=153.93円 -5.7%
日本10年債金利 0.89% 1.0% -11%
米国10年債金利 3.86% 4.19% -7.9%
日本総合CPI(前年同月比推移) 2.7% 2.6%
米国総合CPI(前年同月比推移) 2.9% 3.0%

 

8月の特筆すべき出来事は、2日から5日にかけての日本株の一時的な暴落です。

8月2日に日経平均株価は2200円以上下落し、8月5日の午後にはさらに4800円安の31100円代まで株安が進みました。当日は日本株の700銘柄以上がストップ安になり、株式市場はパニック状態になりました。7月11日の史上最高値である42224円からは約25%下落し、年初の株価からの上昇分もすべてなくなりました。きっかけは何かというと、8月2日に発表されたアメリカの7月雇用統計になります。市場予想を上回り失業率が悪化したことで投資家の心理が悪化し米国の株価指数が下落、それにつられる形で日本株も下落が進みました。また、7月末に日銀が追加利上げを発表したことや、米国経済の先行き懸念でドルが売られたことが理由で円高が進行し、ここ数年の日本株の高騰は円安による輸出企業の好業績が主な理由だったこともあり、歴史的な大暴落を起こしました。

しかし、日本の実体経済は悪くないため一時は暴落した株価も徐々に元に戻ってきており、8月末時点では38000円代まで回復しています。7月には160円代であった為替については、今回の日本の金利引き上げや米国の景気後退懸念から145円代まで円高が進んでおり、落ち着いた相場に戻っています。

 

用語

日経平均株価指数…日本を代表する上場企業225社の株価の平均値。

S&P500指数…米国を代表する上場企業500社の時価総額を指数化したもの。

CPI…消費者物価指数。末端価格の変動を示す指標。

 

 


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