【8月号】水産マンスリーレポート

毎度格別なお引き立てに賜り心より御礼申し上げます。商品情報2024年8月号をお届けします。

 

〇九州前浜

長崎・松浦

(大型船)

・対馬アジ

アジの入船はございませんでした。

 

・東海アジ

サイズ70/170g主体。

各地アジ水揚げ少なく相場高騰。

110gUP : 600-300円/kg(鮮魚)

110gDOWN : 300円/kg前後(生切)

身脂薄く、開き用には不向きな質感。

 

・松浦小網

ここ数か月状況変わらず小網漁獲に関してはエンマキ冷蔵庫にて凍結できない状況。

対馬系アジの水揚げが主体で、100/250gがメインサイズ。

日/20mt-40mt。

浜値280~140円/kg(鮮魚、塩干、フライ用)

 

・ローソクサバ (7月水揚げ560mt)

200-300g / 138-94円/kg

80-130g / 113-79円/kg

 

・ゴマローソク (7月水揚げ45mt)

400-550g / 186~113円/kg

 

  • 長崎小網

・イワシ(7月水揚げ1,000mt)

サイズ50-70gメイン。

浜値100-85円/kg(鮮魚・餌)

7月後期はウルメ・ピンローソクが混じり。

 

・マメアジ(7月水揚げ70mt)

サイズ60-90g。

浜値350-200円/kg(生切り買い付け)

アミ残し多く腹が弱い。

 

〇サンマ

国内船

全さんまの発表によりますと、EEZ外(公海)での操業においては、今シーズンは漁船のトン数による出漁日を分けることはせず、全船8月10日を解禁としました。但しEEZ内での操業解禁日は、昨年と同様となります。また先だって解禁となった小型船による流し網漁も、未だ操業した船はおらず、近海寄りにはサンマの群れは居ないと見込まれます。

台湾船

操業7週目時点では32隻が北緯49°辺りの公海海域にて操業中。水揚げ状況は1日に1隻当たり数トン程度と低調で、尚且つサイズが4號中心と小型化顕著。現在11隻が漁場に向かって移動中との情報も、今シーズンのイカ釣り好漁を受け、サンマ操業を行わない船も多く、操業隻数も昨対減少の見込みです。

 

〇ズワイガニ

8月、各産地の原料生産も一段落し、年末に向けた商談が徐々に増し、マーケットや相場も固まりつつあるように伺えます。その原料供給事情は、昨年、底を打った相場もプレイヤー減の影響もあり、カナダ産、ロシア産共に徐々に強含みで推移すると思われます。価格が高いため、日本国内でのロシア産の需要は徐々に鈍化傾向の様子で中東アジアも視野に拡販中の様子です。一部、冷凍船の復活で冷凍品の生産が予想を上回る様子で今後の搬入状況を見極めたいという思惑も相まって相場に注視が必要と思われます。

 

・ノルウェー

3月18日までで20隻が操業し漁獲枠を246トン超えて10,004トンでクローズ。今期は、大型サイズのアソートが多い為高値で米国や韓国へ拡販され生産者の在庫は一掃された模様。来期は、更に増枠の見込みですが今後の動向に注視が必要です。

 

・カナダ

ガルフ地区は満枠を消化して終了。ニューファン地区もほぼ満枠の消化の見込みです。

 

・ロシア

今シーズンの組成は4L-Lサイズが中心に生産されている様子です。当初、冷凍船減で搬入量が危ぶまれていましたが、活がメインであった中国の景気後退のため冷凍船の復活の兆しで、既にあった3回目のオークションでは、前回の価格を下回って成約された模様です。それ以外に安価が理由で重宝されているトゲズワイガニ及びベニズワイガニ、コストが理由で搬入減、しかし、インバウンド特需が加速し価格が徐々に上昇傾向で、今後に注視が必要と考えます。

 

・アラスカ

来期に向けて7月から始まったテスト操業ですが、期待薄のアナウンスの為今後の状況に注視が必要な様子です。

 

〇タラバガニ

・ロシア

9月の極東オホーツク物のオープンまでは大きな搬入の予定がありません。一方、昨シーズン生産でオランダ在庫玉、米国、欧州での販売が困難な為アジアを中心に拡販が開始されています。

 

・ノルウェー

バレンツ海でも水温が理由で、死にガニが増加傾向。夏期休暇明けの8月中旬から生産開始となる見込みですが、品質や数量に注視が必要、かつ今期は減枠ですので今後の動向に注視が必要です。

 

〇鯖

・大西洋

大西洋で夏鯖が開始されました。

サイズは450g前後と大型。漁場はオーレスンド地区から約13時間のところに形成されております。

まだ餌食いがあり、時季的に早いことから加工用には向かないと予想されます。

価格面は昨年より1割強高く、今後の動きに注視が必要です。

 

製品は新物の値段が高い為今後、相場は強含みで推移すると考えます。

 

 

〇鮭鱒類

・銀鮭

7月も相変わらず引き合いが強く、案内価格も大幅に高く各社唱えております。為替が円高に振れましたがその分チリ現地の原料ドル価も上げてきており、日本へ搬入されるコストは引き続き変わらないようです。生産数量も当初発表されていた数量より下回り、更にドレス加工が少なくなると予想され、現地価格が高い状況と予想されております。定塩製品などは原料価格より遅れて価格改正が行われており、8月以降50~100円/㎏の値上げが各社進んで行くと思われます。

 

・トラウトサーモン

相変わらず搬入量が少ないこともあり高値警戒感あります。しかし、三陸銀鮭が売場に出回り、大きな値上げ幅は無い状況です。お盆向けの消費が上がる予想から年末までの事も想定し、引き続き高値継続していく予想です。

 

 

・紅鮭

アラスカの7月からの水揚げ数量が増えたことから3,000万尾を超えました。

しかし、ここ5年での最低獲数量になることが予想され、ロシア原料も昨年から5%前後の減産です。

銀鮭、秋サケ共に2024-2025シーズンは減産予想の為、新物価格の設定も大幅に上がる予想です。

 

〇うなぎ

・中国

ジャポニカ種は相変わらず現地価格が高く買い付けは限定的になっております。また、ロストラータ種も大型も含め中国現地の価格が高騰しており、今年のシラス池入れが少なかった影響が出始めております。土用の丑の日の中国産冷凍蒲焼の販売は良かったものの、今後の価格高騰による売れ行きが悪くなりそうです。

 

・日本

国産の活鰻流通は相変わらず新仔から順調ではあります。原料高のため加工製品が高騰し蒲焼製品の販売は振るわず。通販やギフト関係は好調ではありますが、量販店での販売が難しくなってきており、単価を抑えるためカットや串など長焼からの販売変更が見られるようになりました。

 

〇サワラ・サゴシ

・中国サゴシ

現在、端境期になります。

原料荷動きは芳しくない状況ですが、秋冬に向けて動きが出てくると思われます。

新物水揚げは10月スタートです。

・韓国原料

現在、端境期になります。

原料荷動きは、ベトナム内販向けが堅調なため、価格は横這いの状況です。

新物水揚は10月下旬スタートです。

・日本産

現在、水揚げ少なく、鮮魚出荷のみの状態です。

11月前後にサゴシが増えてくると原料凍結に入る可能性もあります。

 

・サワラサゴシ製品

需要期を過ぎて荷動き鈍化しておりますが、秋冬に向けて上向くと思われます。

価格は値上がり魚種が多くみられる中で、横這いから一部サイズでは弱含みの状況です。

サゴシ製品は弱含み、サワラ製品は横這いです。

 

〇スケソウダラ

6月10日解禁となったベ海Bシーズンですが、当初よりフィーレ主体の生産となっておりましたが、そのままフィーレ中心の生産継続中。すり身の生産比率は低いままとなっております。

一方、ロシア、中国関連についてですが、EUのロシア原料に対する増税の影響で、EUのロシア原料の輸入数量が今後の焦点になっていきそうです。

また対日については、歴史的な円安でしたが、7月中下旬より急激な円高に振れたため今後の為替市況がどうなっていくか注目しておきたいです。

 

〇アサリ

水揚げ状況は当初の予定通り大型サイズ品薄で推移中。製品の殻付き41~50粒/500g以上、むき身のLサイズ以上に該当します。中国内販の活出荷は、同国経済不振より芳しくない状況です。日本国内では、外食需要が戻り始め、荷動きが良く今後の継続に期待です。

 

〇パンガシウス

ベトナム現地では、大きな動きが無く横ばいで推移中。為替が一時160円ラインから円高に進んだ事もあり、今後更に取扱いしやすい環境になるのではと予想されます。しかし、年末に向けてアメリカ需要が高まり始めれば、状況は一変する恐れも予想されるため今後に注意が必要です。

 

〇冷凍野菜(中国)

山東省の7月の気温は例年並みですが、雨量が昨年に比べて4倍近くとなりました。日本同様に集中豪雨が増えており、圃場はダメージを受け易くなっています。その為、根菜類、人参やゴボウの作柄に影響が出ており原料価格が上昇しています。果菜類、ピーマンやナス、オクラも影響が出てくる可能性があります。コストへの影響は8月いっぱい様子を見る必要がありますが、特にゴボウの新規商談は慎重に検討してください。

 

〇イカ(中国)

今まではペルーイカの原料が潤沢にあったため、ペルー産原料の中国からの注文を大量に受け入れてられていたものの、イカ資源が激減したことにより一部の受注が困難になりペルー中国間の貿易に深刻な影響が出ています。

一方、マツイカについては中国原料が潤沢に入荷し、7月中旬ごろから製品価格の低下がみられます。

一時は、ドルベースの製品単価の下落はあるものの為替が$1=160円以上を付けていたため、輸入単価は下がらないと言われておりましたが、7月下旬より若干の円高が進んだためツボ抜き製品については昨年より落ち着いた相場になりそうです。

 

 

〇各種指数の推移

指数 値(7月末時点) 値(6月末時点) 増減率
日経平均株価指数 37,667円 39,583円 -4.9%
S&P500指数 5,459pt 5,035pt 8.4%
US$/JPY為替 $1=153.93円 $1=158.62円 -3%
日本10年債金利 1.0% 0.9% 11%
米国10年債金利 4.19% 4.68% -1.1%
日本総合CPI(前年同月比推移) 2.6% 2.8%
米国総合CPI(前年同月比推移) 3.0% 3.3%

 

 

7月11日に発表された米国の6月消費者物価指数は前年同月比3.0%で5月と比較して鈍化しました。

日本の総合CPIも2.6%で5月の2.8%と比較して鈍化しています。

日本の長期金利はついに1%を超えたものの、米国は4%台を継続しており、いまだに日米の金利差は大きく開いております。そのため、CPI発表当初は為替の大きな変動はありませんでした。

しかし、7月17日以降、トランプ大統領がドル高・円安を懸念する発言をしたことや河野デジタル大臣が日銀の利上げの必要性について発言したこと、FRB理事が17日の講演で利上げの時期が近づいてきているという認識を示していると発言したこと、度重なる日銀の円買い介入が行われたことなどが要因で、ドル円為替は155円代まで円高が進みました。また、7月22日にバイデン大統領が次回の大統領選を撤退する旨を表明したことにより、アメリカの政治懸念からさらにドル売りが進み、月末時点のドル円為替は153円代まで円高になりました。

2024年に入ってからも不安定な為替相場が続いており、輸出入を行う商社は今後も慎重な動きが必要になります。

 

用語

日経平均株価指数…日本を代表する上場企業225社の株価の平均値。

S&P500指数…米国を代表する上場企業500社の時価総額を指数化したもの。

CPI…消費者物価指数。末端価格の変動を示す指標。

 

 


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