【6月号】水産マンスリーレポート

毎度格別なお引き立てに賜り心より御礼申し上げます。商品情報2024年6月号をお届けします。

 

〇九州前浜

長崎・松浦

(大型船)

・アジ

東海漁場で纏まったアジの水揚げがありました。

サイズは80/120g主体。日/60mt~145mt。

各浜の冷蔵庫の保管庫がイワシ・ブリ等でほぼ満庫状態の中、毎日のように水揚げあっており

浜に入港して1-2日水揚げ待ちで状態。当然。鮮度も弱くなりフライ用メインの買付。k/@200-120。

少し鮮度が良かった時は生切・干物向けの買付。k/@350-170。

対馬漁場もいくらか獲れてましたが200/250g主体の漁獲で鮮魚メイン・一部凍結向け。k/@250-200。

 

(長崎小網)

イワシ主体の水揚げ。日/60mt~150mtの水揚げ。サイズは50/80g。

魚が細く脂無し。餌向け主体の買付で冷蔵庫の状況次第で相場が変わりk/@40-85。

 

(松浦小網)

対馬系アジの水揚げメインで日/30-55mtの水揚げ。

大型船同様200/250g主体で小網はエンマキでの凍結がNGの為、

鮮魚向けの買付が主体で自社冷蔵庫を所有している仲買は凍結も行っている。k/@250-200。

 

〇養殖魚

今月は掲載をお休みいたします。

 

〇サンマ

以前は5月に出漁開始していた外国船も、あまりの不漁にていまだ予定立っていないようです。

秋刀魚記事になる内容が全くないため、今月は休載とします。

 

〇ズワイガニ

・カナダ

4月ガルフ地区は順調に漁獲枠を消化し5-8ozサイズを中心に取引が行われ終盤に向かっています。一方、NFL地区、4月下旬から本格的な漁が開始されました。日本向けは、国内在庫過多から消極的な取引で必要最低限の扱いの様子。一方、米国向けの販売が好調で昨年を上回る価格で取引が開始されています。

 

・ロシア

昨年の扱い量から後退しながらも活での取り扱いが主体で中国、韓国向けに継続されています。一方の冷凍品、生産者からは高額を提示されながらも日本向けに契約が締結されて7~8隻が操業中の模様。

 

・ノルウエー

今期の生産は3月18日で満枠を消化しクローズしました。大型サイズが多い事もあって、米国向けに高値で取引が行われ同国在庫は一掃された模様です。また、今年、1月26日以降生産分からMSCを取得したことから、日本からの問い合わせも増え来期に向けての取り扱い増が期待されています。環境汚染に着眼され来期に向け、既に、漁師と政府と会合が開始されています。今後の扱いや取り組みに注視が必要な見込みです。6月の相場、売り買い共に取り扱いが限定的なことからやや強含みで推移すると予測します

 

〇タラバガニ

現在、主力のロシア、極東オホーツク、バレンツ共に休漁中で大きな搬入の予定は不明です。一方のノルウエー、4月禁漁の為大きな荷動きは見られないことから5月の相場も引き続き横ばいで推移すると思われます。

 

〇鯖

・大西洋

先月に引き続き、原料は現地在庫ほとんどなく、国内も少ないため需要高い状況にあります。

新物は8月頃から開始予定で今年も高値が期待されるため高値堅持と予想します。

製品は国内の安手製品はほぼ市場から消え、為替の影響もあり価格は徐々に上がってきております。

 

 

〇鮭鱒類

・銀鮭

5月に入ってから原料相場が強くなり始め、引き合いが強くなりました。

チリ現地も価格設定が高く、円安が続いているため、痺れを切らした日本各社が新物原料確保に動いた結果かと思われます。

トリム製品に関しましては搬入が少ない為、国内現物は引き合いが強く価格が高騰している状況です。

暫くこの状況は続くと思われます。

 

・トラウトサーモン

先月に引き続き国内の在庫はほぼ底払いのため、5月の価格は更に高騰しました。

現地生産量少ない為、現地価格は高値にて推移。国内への搬入量も少ない状態が続いております。

また、銀鮭、アトランティックサーモンの高騰に引きつられ相場は強含みでもついいが見込まれます。

ドレス原料も同じく高値にて推移しており、安い産地を探して代替の提案が目立ちます。

 

・アトランティックサーモン

ノルウェー、チリ共に現地水揚げ単価が変わらず高値で推移しております。

日本国内のトリム製品も変わらず少ない上、チリからのトリム製品のオファー価格が高く買い付も思うように進んでおりません。ノルウェー産の生鮮アトランは高値堅持のため、トリムEでの出荷も増えてきている状況です。

 

〇うなぎ

・中国

為替と現地加工賃の高騰もあり、中国産製品は値上げ傾向にあります。

中国国内のシラスウナギの池入れ数は進んでおりませんが、昨年までの在鰻が多く、大型サイズ中心

加工品が流通する予想です。5月以降の蒲焼製品は上げ相場と思われます。

シラス漁の状況ですが、昨年同時期に比べて若干は良いものの、まとまった採捕にはなっていない様子です。ジャポニカ種は高値にて相場張り付きですが、ロストラータ種が相場下げの状況です。ジャポニカ種からロストラータ種への販売変更が予想されます。

 

・日本

日本国内の池入れ数量は昨年並みとの状況で、早い時期から池入れ進んでいましたので、7月以降の活鰻価格は落ち着くのではないかとの予想です。

しかしながらシラス価格の高値継続と加工賃値上げによる製品高は避けられない為、土用の丑に向けての販売数は昨年並みかと思います。

 

 

〇サワラ・サゴシ

・中国サゴシ

原料は下がったにも関わらず、変わらず円安のため製品価格は10%未満の値下がりとなっています。

・韓国原料

引き続き価格横ばいで推移しています。

・日本産

日本海にて小型サイズ500-700gの水揚げが散発的にあり、一部は凍結に入っています。

フィレ加工で200g前後サイズになります。

価格は、昨秋水揚げ時と同等水準になっています。

 

・サワラサゴシ製品

製品荷動きは、夏場に向けて鈍化する見込みです。

サイズ別の市況は、サゴシ製品が横這い~弱含み、サワラは品薄のため引き合いが増加しています。

 

〇スケソウダラ

ベ海ほぼ終漁であり、多少の残枠あるかもしれませんが、Bシーズンへのキャリーとなるため影響は限定的。一方ロシア・オ海については増産着地見込み。国内需要については、不足感無いため横ばいにて推移中。相場観としては、現在は横ばいにて推移中ですが、今後は30数年ぶりの円安の影響もあり、製品の荷動き次第にはなりますがコスト高→上げ相場?となるか注意したい所です。

 

 

〇冷凍野菜(中国)

円安続伸中ですが、葉物類はCIF価格が下がったので円価の上昇幅は4%程度に抑制されています。

きぬさやの生産は例年より10日ほど遅れて開始されました。本年は減反が見込まれており、円価で10%以上の値上がり予想。スナップエンドウも同様となる見込みです。

これからの1ヶ月、新規の引き合いに対しては価格改定のうえ対応する必要がありますので、気を付けてください。

 

 

〇イカ(中国)

赤いかについては先月に続き小型原料の不足のため、小型原料を使用した製品(唐揚げ、串打ち商材)はCIF価格が10%程度値上がりしています。また、小型原料の品薄と中国内販でのイカゲソの需要の多さが相まって日本が買い負けし、日本国内でのイカゲソ製品の終売や大幅な値上げが散見されます。反対に中型以上の原料を使用したロールイカなど業務用商品については、切身・短冊への切り替えが進み、CIF価格は変わりないものの日本国内での流通価格が5%程度下落しています。

 

各種指数の推移

指数 値(4月末時点) 値(3月末時点) 増減率
日経平均株価指数 38,405円 40,369円 -4.9%
S&P500指数 5,035pt 5,254pt -4.2%
US$/JPY為替 $1=157.73円 $1=151.31円 4.2%
日本10年債金利 0.88% 0.72% 22%
米国10年債金利 4.60% 4.20% 9.5%
日本総合CPI(前年同月比推移) 2.5% 2.7%
米国総合CPI(前年同月比推移) 3.4% 3.5%

 

4月29日、日本ではGW真っ只中の祝日になりますが、午前中160円代まで進んだドル円為替は午後には154円代まで安くなりました。この日、日銀の5.5兆円規模の円買い介入があったのではないかと予想されています。しかし、その週のうちにじりじりと円安が進み5月1日時点では157円代まで戻りました。その後、5月2日には再び急激に円高に振れドル円為替は153円代まで円高が進みました。市場は、この日も3兆円強の円買い介入があったのではないかと予想しています。合計9兆円規模の介入があったにもかかわらず、そのあとも円安が進み5月26日時点では156円代後半まで戻しています。日銀はインフレの抑制のためにマイナス金利政策を撤廃し日本の長期金利が上昇し、コロナによる国際的な移動の制限が緩和され外国人観光客が日本で消費をするようになり、日本の企業の景気は以前と比べて改善したにもかかわらず、米国経済が依然として日本より強いことや、日米の4%近い金利差の影響で変わらず円安トレンドが続いています。

今後も為替の影響による輸入品のコストアップを避けるのは難しく、値上げによる消費者の家計圧迫は引き続き続くことが予想されます。

 

用語

日経平均株価指数…日本を代表する上場企業225社の株価の平均値。

S&P500指数…米国を代表する上場企業500社の時価総額を指数化したもの。

 


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