【5月号】水産マンスリーレポート

毎度格別なお引き立てに賜り心より御礼申し上げます。商品情報2024年5月号をお届けします。

 

〇九州前浜

長崎・松浦

(大型船)

・ブリ

3月末よりブリが見え始め日/15,000本の水揚げ。スタートよりk/@250-300で加工生切が強く買付しており、冷凍物はk/@160-220が平均単価。各市場ブリ・アジで水揚げが漁獲日より2-3日遅れの水揚げになり鮮度が弱くてk/@100-150。

 

・アジ

東海漁場漁獲でいくらか纏まったアジの水揚げがありました。

サイズは80/110g主体。日/70mt~130mt。鮮度があまり良くなく生切・フライ用向けの買付で

多少鮮度が良かったら干物向けにも一部凍結。k/@170-280前後。

 

・長崎小網

イワシ主体の水揚げ。日/100mt~180mtの水揚げ。サイズは60/80g。

冷蔵庫の状況次第で相場が変わりk/@45-75。

 

・松浦小網

ローソク 200-400g / 2000mt  k100〜40円

ピンローソク 150-200g / 250mt  k115円〜75円

ゴマローソク500-600g / 150mt  k110円〜100円

芝アジ 60-80g / 60mt  k150〜90円

イワシ60-80g / 1000mt  k66〜40円

 

 

 

 

 

〇養殖魚

・カンパチ

在地が少なかった為、さらに値上げ傾向

前月より浜値50円から100円上でk1500円前後

 

・ブリ

下げ止まり感があり、価格は現状維持です。浜値k850前後

天然ブリが潤沢にある中で需要が低く、売りが弱くなっています。

 

・真鯛

引き合い強く値上がり傾向です。

4月の需要期にタイミングで値上げが起こる可能性高く注視が必要です。

現在浜値k950円前後。

 

〇サンマ

北太平洋漁業委員会(NPFC)は4月15から18日の4日間、大阪市内にて8回目の年次会合を行い、2024年シーズンにおける公海でのサンマ漁獲可能量(TAC)について、科学的根拠を基に数値が修正可能な規制を示しました。

公海 昨年150,000t ➡ 135,000t

日本・ロシアEEZを含めた分布域 250,000t ➡ 225,000t

上記TACでは依然として、漁獲量の実態数値よりも膨大な設定であり、前回までNPFC参加国内での主観的協議で取り決められていたが、今回新たに科学機関の示した漁獲管理規制ルールを導入する事となりました。その影響でTAC修正には、前年の±10%内と急激な減枠が出来ないため、昨シーズンの漁獲水準(公海 104,000t)以下に落とす設定には3年以上を要し、資源動向よりも客観的根拠に基づいた結果とされています。

 

 

〇ズワイガニ

・カナダ

3月末日Gulf地区(12、19地区)では、昨対25-30%の減枠で漁がスタートしました。一方、ニューファンドランド地区は、4月6日から漁期が開始されCAD$2.60-で一旦、浜値交渉が妥結しましたが漁業業者の反発から、結局CAD$3.00-で妥協されました。更に市場価格は、米国ボストンにおける5-8oz Brineバルクの価格が指標となるようです。

 

・ロシア

極東オホーツク海で4月初旬から39隻が出漁された模様。多くが、中国/韓国向け活ズワイガニ漁を行っており、冷凍を作る状況にはない様子で、漁獲枠の消化が進んだ後の秋漁が見込まれている為冷凍品の搬入減で価格高騰と推察されます。

 

 

・ノルウエー

今期漁獲枠9,758トンを約200トン超えて3月18日にcloseとなりました。今年、大型サイズの組成が多かった為米国の引き合いも強い為価格は高騰し在庫は順調に販売された模様です。4月10日Norway北部Tromsoで行われた漁業者オーナー会議の結果、今年、1月26日生産品以降のノルウエー産ズワイガニがMSCを取得しました。その他来期に向けては雇用を守る為、漁船毎の漁業枠となる見込みです。

ズワイガニの相場は、搬入減と為替から上げ相場が見込まれます。

 

タラバガニ

ロシア産、極東オホーツク海、バレンツ海共に生産は終了しているものの、安価なバレンツか物の搬入が見込まれます。

ノルウェー産は現地には、小型サイズを中心に在庫はあるようですが、サイズと価格がネックとなって荷動きは悪いようです。当面、現在の相場が維持されると推察します。

 

〇鯖

・大西洋

ノルウェー / イギリス共に在庫は底払いし、日本国内も徐々にショート感が強くなってきました。

製品に関しては引き続き円安の影響、原料高騰の影響もあり安手の物は市況から消えてきており各社値上げを行っている状況です、このタイミングで各社じりじりと値段をあげてきており、相場は

 

〇鮭鱒類

・銀鮭

先月に引き続き銀鮭のパッカーからの委託販売単価が若干の強含みとなっております。

日本国内への搬入量も増えている状況ですが、荷動き良く定塩製品加工も増加傾向にあります。

また4月から始まっている国産養殖銀鮭も価格は昨年よりも単価高く、生産数量も少ない為、チリ銀鮭の需要は一層強くなるかと考えられます。

トリム製品に関しましては搬入が少ないため価格が高騰しており、引き合いも強くなってきております。

引き続き搬入が少なく、大型サイズ中心に値上げ傾向です。

 

・トラウトサーモン

国内の在庫がほぼ消化され、価格が高騰してきております。

チリ現地の価格は高く、現地生産量、日本国内への搬入量も少ないです。銀鮭、アトランティックサーモンが高騰しているため、その相場につられるように相場が若干強くなる予想です。ドレス原料は高値にて安定しており、トルコ産などへの原料への転嫁がみられます。

 

・アトランティックサーモン

ノルウェー、チリ共に現地水揚げ単価が高騰しております。

日本国内のトリム製品も極端に少なくなってきているため、3月-4月を目途にチリからトリム製品の

搬入を進めておりますがオファー価格は大きく上がる模様。フレッシュ価格の大幅高騰もあり、

4月のノルウェー産生鮮アトランティックサーモンの輸出単価の高騰が続いており2000年以降の

最高単価になっております。

 

〇うなぎ

・中国

為替と現地加工賃の高騰もあり、中国産製品は値上げ傾向にあります。

中国国内のシラスウナギの池入れ数は進んでおりませんが、昨年までの在鰻が多く、大型サイズ中心

加工品が流通する予想です。5月以降の蒲焼製品は上げ相場と思われます。

シラス漁の状況ですが、昨年同時期に比べて若干は良いものの、まとまった採捕にはなっていない様子です。ジャポニカ種は高値にて相場張り付きですが、ロストラータ種が相場下げの状況です。ジャポニカ種からロストラータ種への販売変更が予想されます。

 

・日本

日本国内の池入れ数量は昨年並みとの状況で、早い時期から池入れ進んでいましたので、7月以降の活鰻価格は落ち着くのではないかとの予想です。

しかしながらシラス価格の高値継続と加工賃値上げによる製品高は避けられない為、土用の丑に向けての販売数は昨年並みかと思います。

 

 

〇サワラ・サゴシ

・中国サゴシ

新物原料は、例年並みの水揚げ状況でした。

原料価格は下がりしましたが、円安のため製品価格は10%未満の値下がりとなっています。

・韓国原料

韓国は約15,000mtの水揚げで昨対とほぼ変わらず、このまま横ばい予想です。

価格も横ばいで推移しています。

・日本産

日本海にて10月下旬から11月にかけて小型サイズ400-600gの水揚げがありました。

一部は原料凍結に入りました。フィレ加工で200g前後サイズになります。

但し、12月以降は水揚げが減少、現在は鮮魚出荷となっています。

 

・サワラサゴシ製品

製品荷動きは、春需要が入って活発化しています。

サイズ別には、サゴシ製品は市況横這い、サワラフィレは荷動き上昇のため品薄になっています。

 

 

〇スケソウダラ

ベ海ほぼ終漁であり、多少の残枠あるかもしれませんが、Bシーズンへのキャリーとなるため影響は限定的。一方ロシア・オ海については増産着地見込み。国内需要については、不足感無いため横ばいにて推移中。相場観としては、現在は横ばいにて推移中ですが、今後は30数年ぶりの円安の影響もあり、製品の荷動き次第にはなりますがコスト高→上げ相場?となるか注意したい所です。

 

〇アサリ

春漁は、すでにスタートしているものの、今期成長が芳しくなく、例年に比べて水揚げが遅れている状況です。そのタイミングでの急激な円安により新物価格は厳しい状況からスタートとなっております。国内需要としては、3月以降の殻付き中心に外食の荷動きが特に良く、今後も続くと思われます。

 

 

〇パンガシウス

テト明けから各パッカー大幅な価格上方修正となっております。

先月に引き続き昨年販売不振より減産、養殖業者の倒産が相次いだことから供給が大幅に減少しております。また、為替の影響もあり各社コストUPが避けられない状況ですが荷動きは好調に推移しております。様々な魚種がコストアップしている中でも安値堅持しており、量販店・回転寿司などで使用されるケースが増えているため認知度も上がり、今後更にマーケットが広がると予想されます。

急激な為替変動より現地からの高値オファーは変わりません。しかし日本国内は販売価格据え置き傾向のため、現地は換金目的で利幅薄・逆ザヤでの提案をしてきている様です。今後の少しずつ値段は上がっていく予想ですが大幅な値上げは無さそうです。荷動きに関しては、GWもあり順調に推移中。他魚種の白身魚も厳しい環境下にあること、認知度が上がってきたことから、今後更なるマーケット拡大に期待です。

 

 

〇冷凍野菜(中国)

円安続伸中ですが、葉物類はCIF価格が下がったので円価の上昇幅は4%程度に抑制されています。

きぬさやの生産は例年より10日ほど遅れて開始されました。本年は減反が見込まれており、円価で10%以上の値上がり予想。スナップエンドウも同様となる見込みです。

これからの1ヶ月、新規の引き合いに対しては価格改定のうえ対応する必要がありますので、気を付けてください。

 

 

〇イカ(中国)

中型以上のペールイカの原料価格は安定していますが、小型原料(1kgUNDER)、スルメイカ、マツイカ、ムラサキイカなどは変わらず高値が続いています。

また、国内の売れ行きについては短冊や切身などの加工品は好調ですが、労働力不足によりロールイカなどの加工に手間のかかる商品は切身などへの切り替えが進み、売れが鈍っているように思われます。

昨年秋ごろから価格変動や人材不足によりメニュー改定が行われ、国内の消費のトレンドが徐々に変化しているように感じられます。

 

 

 

 

各種指数の推移

指数 値(3月末時点) 値(2月末時点) 増減率
日経平均株価指数 40,369円 39,166円 3.0%
S&P500指数 5,254pt 5,096pt 3.1%
US$/JPY為替 $1=151.31円 $1=149.51円 1.2%
日本10年債金利 0.72% 0.70% 2.8%
米国10年債金利 4.20% 4.23% -0.8%
日本総合CPI(前年同月比推移) 2.7% 2.8%
米国総合CPI(前年同月比推移) 3.5% 3.2%

 

 

今月特筆すべきはドル円為替の変動です。

2月末時点では$1=150円前後を推移していたものの、4月末には155円前後まで円安が進んでいます。

この理由としては、米国のインフレが想定以上に収まらず、6月の利下げ観測が後退していることが考えられます。

2024年始めに市場は、アメリカのインフレは落ち着いてきたため6回程度利下げがあるのではないかと予想していたものの、現在では1から2回程度ではないかと言われるようになりました。

現在では2023年と同様の高水準の政策金利が継続すると予想されているため、円とドルの金利差は引きつづき開き続けると推測され、2月末から5円以上の円安が進みました。

アメリカの中央銀行のパウエル議長についても、利下げに踏み切る準備はできているが、利下げを急ぐべきではないと発言しています。

2024年の株価は近い将来利下げがあるだろうという予想の元上昇を続けていましたが、米国のインフレが思うように落ち着かず、米国、日本共に下落しています。(一般的には金利が上がると消費が落ち込むため株価にマイナス、金利が下がると消費が増えるため株価にプラス)

155円代の為替が定着すると、日本の輸入商社にとってはコストアップになるため、苦しい状況が続きそうです。

用語

日経平均株価指数…日本を代表する上場企業225社の株価の平均値。

S&P500指数…米国を代表する上場企業500社の時価総額を指数化したもの。

CPI…消費者物価指数。末端価格の変動を示す指標。

 


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