【11月号】水産マンスリーレポート

毎度格別なお引き立てに賜り心より御礼申し上げます。商品情報2024年11月号をお届けします。

 

〇九州前浜

  • 大型船

・アジ

9月同様に鮮度は良くなってきたが脂なし

90-300g:720mt

浜値650~120円/㎏(鮮魚・生切り・フライ)

 

・サバ

9月同様に鮮度良くなってきているが脂なし。

700g:1mt – 900~350円/kg

600g:13mt – 800~250円/kg

450~500g:70mt – 700~160円/kg

400~450g:50mt – 350~170円/kg

 

・ローソク

250~400g :670mt – 200~100円/kg

100~200g : 900mt – 150~110円/kg

 

・ゴマサバ

700~800g :45mt – 200~150円/kg

550~600g :35mt – 300~150円/kg

 

・ゴマローソク

250~550g:240mt – 180~125円/kg

 

  • 松浦小網

・イワシ(480mt)

60-70g:122~92円/kg

20-40g:90~80円/kg

 

  • 長崎小網

・小イワシ・ウルメ混り(1,575mt)

30g前後:80-40円/kg(餌用)

 

・マメアジ(110mt)

9月同様、鮮度良好だが脂なく餌残し多い。

90-130g:350~250円/kg(生切り用)

50-60g:150-125/lg

 

 

〇サンマ

・国内船

10月26日現在の累計水揚げ数量は10月時点ですでに、昨シーズン総水揚げ量24,433トンの漁獲量とほぼ同様のレベルにまで達しています。但し現状での操業区域は、いまだ東経150°以東の公海、及びロシアEEZ水域での遠方漁場が主体で、今シーズンも日本近海寄りへのサンマ魚群の来遊の可能性は、極めて少ないと予測されています。遠い漁場からは水揚げのため帰港に2日間前後かかる事、また一晩操業では漁獲量がわずかな上、2~3日間操業ののち帰港することから、鮮度面も良くない秋刀魚も散見される。また10月下旬となっても未だアミ喰いのサンマも水揚げされる事態となっており、サンマ生息海域の異変すら感じられる内容となっております。

 

・台湾船

台湾船操業19週目の10月10日前後には、NPFC年次会合にて合意された、台湾の漁獲上限81,210トンに達する領域となったため、すべての台湾船は高雄での水揚げに向け帰港を開始しました。早めに帰港を開始した船は、翌週15日ころから水揚げ開始しており、一部の日本企業も買付船積みを開始しました。今シーズンのサンマサイズ小型化の影響で、昨年までは何とか入手出来ていた1號サイズは入手不可。2號サイズも昨対、大幅な値上げを提示されている状況となっております。水揚げは順次行われ、11月下旬まで続く見込みです。

 

  • カニ全般

今まで日本の市場を占めていたロシア産タラバガニは昨年より更に高値に、また需要そのままに供給が減っているロシア産ズワイガニ(オピリオ種)も高値となった事から他産地や他種のカニ類に需要が分散しています。

外食では、ホテルのバイキング需要復活で、高値のオピリオ種を嫌い、安価なロシア産ベニズワイガニやトゲズワイガニの荷動きが好調な様子。

また、大型のズワイガニを欲する国内業者は北海道でオオズワイガニ(バルダイ種)が底引き網漁で混獲されるようになり、それをボイル姿ズワイガニに加工し始めています。

上記のオオズワイガニ(バルダイ種)は今年のカナダ産ズワイガニと比べても安価で小型の為、扱い易い事から昨年よりも売れ行きは好調の様子です。

また、価格重視からの観点からロシア産ゴールデンキングクラブや、ノルウェー産タラバガニなど今まで全国的に扱いが少なかった種類を扱い始めた業者も増加しています。

また、今年は僅かな漁獲枠でありますが、アラスカ産ズワイガニ(オピリオ種)の3年ぶりのオープンや、高額での取引が込まれるアラスカ産タラバガニの扱い等、これから需要期に入ることから荷動きは活発が予想されますが、しかしながら、需要はアメリカ向けメインで価格は高値横ばいで推移すると予想します。

 

 

〇樺太ししゃも

・原料状況

2月のアイスランドが禁漁だったため原料高、円安基調で各魚種の製品は価格が上昇中。

また来年のノルウェーも禁漁が決定。ノルウェー現地の在庫もほぼ底払い在庫な印象で、在庫が限定的な事から原料価格がより高値になることが予想されます。

 

・製品状況

昨季のアイスランド禁漁によりサイズによっては不足感ありますが、基本的に海外加工製品を中心に滞りなく回転しています。上記通りノルウェーは禁漁が決定。アイスランドは1月まで状況が不透明でありますが、いくらかの枠が出ても強気な価格を付けてくることが予想されます。そのため製品価格は徐々に値上がり傾向と予想します。

 

〇鯖

・大西洋

シーズンはほぼ終了となりました。

原料はシーズン開始から世界的需要高、円安の影響を受けて価格を上げ続け、昨年より3-4割高となっております。2025年の大西洋鯖の全体枠は今年に対し22%減少予想なため引き続き原料は強含みにて推移する予想です。製品は骨取フィレを中心に欠品も出てきている状況。新物の値段が高い為、今後の相場は強含みにて推移していくと考えます。

 

 

〇鮭鱒類

・銀鮭

10月になり、為替が円安に振れた事もあり、新物価格は若干の上げ相場にて流通しております。しかしながら相場変動が今後も下げに転じる事もある事を想定して荷動きはそれほど大きくはありません。定塩製品は原料価格に対して値上げできておらず、相変わらず原料高製品安の状況は変わりません。トリム製品も為替の影響から若干相場が弱くなってきていましたが、秋サケなどの不漁もあり下げ相場で無く、横這いになっております。荷動き感が悪くなっておりますが、秋サケが不漁予測となっており、量販店の鮭の切身需要の中心は引き続き銀鮭がメインとなると思われます。

 

・トラウトサーモン

引き続き生産量も少なく、現地からの搬入量も限られておりますが価格は横這いにて、相場は落ち着いております。今後の搬入も継続的にある為、年末に向けての商談が進むことで引き合いはあるものの、銀鮭の相場によっては特にトリムCに関しましては相場に気を付けて行かないといけません。

 

 

〇うなぎ

・中国

現地の価格高騰が止まらない事と為替円安の為、各インポーターの買付が滞っております。シラス漁の不漁と中国内販、ヨーロッパなどへの販売が好調なのが続いていることもあり、現地の製品相場のジリ上げ感が止まりません。

今期のシラス漁開始までは相場高は変わらない様子で、来期の漁次第では更に高騰する可能性もあります。

 

・国産

先月に引き続き外食などの活鰻の流通は引き続き順調ではあります。しかしながら冷凍加工蒲焼は原料単価高騰から昨年よりも更に高い状況になっております。使用状況も限定的にて荷動きが弱い状況です。

 

〇サワラ・サゴシ

・中国サゴシ

新物水揚げは、前年対比60%ほどで少なく、サイズアソートは例年並みの状況です。

日本向け原料凍結は、11月末頃まで継続する見込みです。

 

・韓国原料

新物水揚げは、中国サゴシと同様の状況で、サワラ・サゴシともに前年対比で減少しています。

サイズアソートは、サゴシが例年並み、サワラはラウンド2㎏以下が多く、3㎏UPが少ない状況です。

現在は身質的に不十分な状態ですが、11月以降の向上に期待しております。

船凍品は、1月下旬に終了する見込みです。

 

・日本産

現在、国内水揚げは少なく、鮮魚出荷のみの状態です。

11月以降に水揚げが増えてくるとサゴシは原料凍結に入る可能性あります。

 

・サワラ・サゴシ製品

国内荷動きは鈍い状況ですが、冬から春に向けて上向くと思われます。

価格は、サワラが横這い、サゴシは弱含みの状況です。

 

〇アサリ

アサリに関しては、水揚げピークを過ぎたため、現地・国内ともに大きな状況変動をございません。

水揚げ全体としては、昨対増で推移しておりますが小型サイズ中心となっております。

中国内販に関しても前月同様芳しくなく需要減少が続いております。今後、年末に向けて外食中心に需要増となるため、荷動き活発になることに期待です。

 

 

〇パンガシウス

ベトナム現地相場は、強含み傾向となっております。要因としては、年末需要としてのアメリカ・ヨーロッパ向けの引き合いが強くなったためです。為替の変動も大きく、年末に向けては国内相場としては上げたいところではあるものの、各社暫くは国内相場としては横ばいで推移すると思われます。

また、日本国内の販売は順調に推移しており各社順調に入荷・販売中であります。

 

 

〇冷凍野菜(中国)

中国は引き続き雨量が多く、気温の低下もあり作物への影響が増しています。

里芋に限り夏以降の雨量や天候が品位に好影響であった為、15%~20%程度の値下がり予想となります。

山東省の葉物類では小松菜、チンゲン菜は微減程度で済みそうですが、ほうれん草の収量は大幅減が見込まれます。越冬作も計画される為、日本での販売絶対数量への影響は現時点で不透明ですが、原料価格は確実に上昇していきます。また、浙江省・江蘇省のカリフラワー、ブロッコリーも既報通り台風の影響もあり20%近くの減産。各原料、年末まで生産を進めながらコスト動向を見守る必要があります。

 

 

〇イカ(中国)

今年夏ごろからペルーイカの不漁が騒がれていましたが、製品自体の価格は横ばいからやや値上げのみで大きな変化はありませんでした。しかし、10月初旬頃に中国全域のパッカーから日本の商社に対して供給が難しくなるという情報が発信され、製品単価も約3割程度値上がりとなりました。値上げ後の単価でも供給ができるか不明な状態と言われています。

今回のペルーイカ不漁の原因としましては2023年5月から2024年1月までのエルニーニョ現象の影響により南太平洋の海水温度が異常に高かったため、ペルーイカの生息海域が変わったことではないかと言われております。海水温の上昇は今年4月頃には終了しており、これから徐々に水揚げが回復していくと予想されますが、原料不足の状態は2025年6月までは続くと予想されています。

また、消費されるイカの大半を占めていたペルーイカが不漁となり、マツイカなどの製品価格も高騰しており、東南アジアのコウイカ価格にも影響が出るのではないかともいわれています。

 

各種指数の推移

指数 値(10月末時点) 値(9月末時点) 増減率
日経平均株価指数 37,913円 37,845円 0.1%
S&P500指数 5,808pt 5,760pt 0.8%
US$/JPY為替 $1=152.33円 $1=143.12円 6.4%
日本10年債金利 0.93% 0.86% 8.1%
米国10年債金利 4.23% 3.78% 11.9%
日本総合CPI(前年同月比推移) 2.5% 3.0%
米国総合CPI(前年同月比推移) 2.4% 2.5%

 

直近1か月でドル円為替は約10円円安に振れました。利下げによる金融緩和が行われている米国と、緩やかに金利上昇が起きている日本の間では通常は円高に振れるはずですが、説明し難い為替相場となっています。日本では10月27日に衆院総選挙が行われました。結果は与党の過半数割れとなり、今後の政治懸念から28日(月)の為替相場は円安が進みました。来月、11月には米国でも大統領選挙が予定されており、来月以降の為替相場も予想ができない状況です。輸入を行う日本の商社は、直近の政治、為替相場、原料相場の予想ができない変動から、製品価格の設定に頭を抱えています。

 

用語

日経平均株価指数…日本を代表する上場企業225社の株価の平均値。

S&P500指数…米国を代表する上場企業500社の時価総額を指数化したもの。

CPI…消費者物価指数。末端価格の変動を示す指標。

 

 

 

 


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