【10月号】水産マンスリーレポート

毎度格別なお引き立てに賜り心より御礼申し上げます。
商品情報2023年10月号をお届けします。

TOPICS!!
☆為替が149円近辺に。150円代も射程圏内へ。
☆中国の日本水産物禁輸から1か月超。日本国内で北海道産ホタテ等、国内水産物と
コラボし消費を喚起するコンビニ・外食チェーンが増加中。

カ ニ

〇ズワイガニ

・カナダ
来シーズンに向けて生産者側と政府間で協議が開始されている状況です。

・ノルウェー
環境汚染が重視され改善策を元に生産者に新たな基準が設定される為新規のように影響が出てくると推
察されます。枠の発表は11月末を予定しています。
また、外食産業が要望する大型サイズ、供給元であったロシア産がアメリカの禁輸で絶たれたこともあ
り、その代用としてノルウェー産の問い合わせが増加しています。

・ロシア
中国・韓国の活需要が増えているため活の生産増やし極東からの冷凍ズワイ供給量は少なくなることが
予想されます。10月以降はより需要増えてくることから若干の強含みで推移すると思われます。

〇タラバガニ

・ロシア
9月から生産が始まりました。
生産は活生産メインで冷凍は一部生産しています。
中国、韓国向けに活販売が主体、日本向けには冷凍メインで少量活にて搬入されております。
品質が不安定な為価格は昨年価格を大きく下回っていて、中国向けUS$50.00CIF以下で取引されて
います。

・ノルウェー
EU向け活出荷が旺盛で、冷凍品の生産まで追いついていない状況です。

・カナダ
ズワイガニ同様、今期の資源調査ではオスの生育が悪い事もあり今後の動向に注視が必要です。

サンマ

◆国内サンマ棒受け網
8月の水揚げ総量は約600トン、9月に入っても昨対水揚げ量は微増ではあるが、ここ数年来と同じく
漁場はE155°程度まで赴く遠方漁場での操業となっており、漁場到達・水揚げのための帰港まで各々2
昼夜程度を要します。また依然として道東沖が20℃近い表面水温となっており、秋刀魚の群れがEEZ
内(近海寄り)に来遊するのは、まだ来月以降先の事となりそうであります。
1夜あたりの漁獲量も少なく、満船で帰港した棒受け網船はいまだ無く、また帰港に時間を要すること
もあり、鮮度保持との戦いでわずかな漁獲量でも帰港せざるを得ない状況です。
サイズ組成も一時的に120g上が30%程度あった期間もあったが、9月下旬になると大型サイズは減少し、
逆に100g以下の小型が半分近い組成となっていることで、浜値も昨年維持していた600円台レベルの
平均単価以下となりつつあります。◆台湾サンマ船凍船 操業17週目2023台湾サンマ17週目8月から9月中旬までは一時的に好漁であった7月から一転、1隻1日当たり1~2トン程度まで水揚げ
量が激減してましたが9月下旬になり水揚げ量は回復基調、中心サイズも加工原料としては使用しない
4~5號サイズで80%程度まで小型化していたものが、3號以上の日本国内向けでも可能なサイズが50%
程度まで戻りつつあります。

サ バ

・大西洋
今期のノルウェー枠の249,870mtのうち、約70%を消化しました。
UK域での漁獲がメインで、ノルウェー域での水揚げは非常に貧しい状態が続いております。
現地からのオファー値は9月中旬の水揚げ不安定により大きく値上がり、未だに日本は静観続けており
買い付けも大きく進んでおりません。今後の参入してくる諸外国含め、動向に注意が必要です。

鮭鱒類

・チリ銀鮭
9月の商社半期決算の為、一部安価な原料が流通しましたが、おおよそ横這い相場にて推移しました。
2022-2023シーズンの日本への搬入量は日本以外の買いが強いこともあり通常の約2割程度落ち込んで
おり、紅鮭の影響や国内消費の減少で10月からの新物搬入により市況に影響があると思われますので
注視が必要です。
原料の契約が進んでいない為、委託販売待ちをする商社も多くいますが、搬入量自体が少ない為、思っ
たよりの安価スタートは見込めない予想です。

・トラウトサーモン
相変わらず安価な製品が出回っており、相場が急落しております。
チリ産以外のトルコ、ペルーなど他産地商品も出回っており、さらに銀鮭に売り場を取られている状況
の為、量販店での消化も進まず、苦戦しています。

・アトランティックサーモン
水揚げが好調だったこともありノルウェー産の生鮮が8月に単価が大幅に下落しています。
冷凍のチリ産トリム製品はフレッシュの流通が順調なこともあり、大幅な下げ相場は無く、横這いにて
推移しています。

・秋サケ
9月の中頃からスタートしました。水揚げ不振にて昨年の半分ほどの数量にて推移していますが、価格
は昨年よりも安価に推移しています。昨年の国内製品が残っていることもあり慎重な出だしになってお
ります。

九州水揚げ情報(松浦・長崎)

◎大型旋網
・アジ
東海メインで西沖物一部の水揚げ。日/100-150mt 90-130g主体。浜値k/@280-200。
東海物は腹皮薄いので鮮度悪く脂感も無しに近い薄さでほぼフライ用・生切向けの買付。
鮮度がマシな時は干物向けの買付も少々。

◎小型旋網
・イワシ(長崎)
小イワシ・小ウルメ主体の水揚げで日/100-150mt 浜値k/@80-60。餌向けの買付。
・イワシ(松浦)
小ウルメ・小イワシは長崎同様。

・ヤズ
2.5k-3kサイズが日/30-50mtの水揚げ。 浜値k/@220-190レベルで
鮮魚・生加工・凍結が買付しています。

・長崎赤物
釣本ガツオ 1尾/4k主体 日/30-80mtの水揚げ。 k/@300前後で鮮魚主体ですが
水揚げが多い日はk/@260-280で凍結が入る時もあります(サプライ・横冷)

・長崎底曳物
レンコダイ主体の水揚げで週に3日サイクルの入船。水揚げは日/3-5mt。
浜値k/@500-330で鮮魚主体の流通。

サワラ・サゴシ

日本・中国・韓国、原料状況は秋口になり漁獲が見え次第、更新致します!
===2022年秋状況====
・中国 / 韓国
中国は全体的に大幅な不漁、韓国は大型サイズは纏りを見せたものの小型サイズは中国同様に不漁で、
原料状況は全体的に不足感があります。
・日本
先月に引き続き各産地とも水揚げが少なく、鮮魚出荷となっています。
凍結在庫は、ほぼ無しの状況です。
==============

・サワラサゴシ製品
大型サイズは入荷安定していますが、円安のため輸入原価が上昇しています。
中・小型サイズは、前シーズンが不漁だったため入荷数量が大幅に減少しています。
荷動きは、夏場低調でしたが中小型サイズを中心に復調傾向に入っています。

冷凍野菜(中国)

先月と変わらず価格帯の安価な冷凍野菜類は好調な売り上げが続いています。
凍菜は食品の中で最も単価が低いため、①量目調整の際、製品内の割合を増やしやすい②老人ホームや
病院などヘルスケア関係への納品が多く、景気に左右されにくい等の理由から今後も好調な販売が続く
ことが予想されます。
原料状況については、里芋が端境期を迎えており、11月の新物入荷まで品薄の状況が続きそうです。
インバウンドの増加など円高要素はあるものの、円安進行がおさまる気配がなく、
製品コストも逼迫のため、年明け前後に為替要因で値上げを行う商社が複数あることが予想されます。

スルメイカ/アメリカオオアカイカ(中国)

国産スルメイカが大不漁のため、原料の入札価格が1800円/㎏近くまで高騰しています。
そのため輸入スルメの引き合いが強くなり、中国産の製品コストも右肩上がりに高騰しており、ツボ抜
き製品の7000円/cs代オファーは殆どなくなってきました。
ペルー製品価格、売れ行きについては先月から横ばいの状況が続いています。
しかし、為替の影響で今後は値上げをしていかざるを得ない状況が訪れそうです。

アサリ

先月と変わらず、原貝高値のためアメリカ輸出減により大型サイズは想定よりは荷動き悪い模様。小型
サイズは、強気な価格で横ばいが続いております。中国国内販売はコロナ明けから活貝を中心に徐々に
増えてきている状況です。
日本国内販売価格は殻付き、むき身ともに先月に引き続き大きく価格は変わらず推移中、日本国内の需
要も横ばいにて推移しています。

パンガシウス

アメリカ・中国中心にオーダーが増えてきたことより相場強含み傾向な動きとなっております。
しかし、為替150円近くまで円安が動いたころからコストUPとなり日本への販売は苦しくなってきて
おります。年末向けに更に需要増が見込みまれることから今後の市況に注力です。

スケソウダラ

ここ数シーズン高値で推移していたスリミが続落。
ベ海では工船はほぼ終漁であるが、母船、陸上は残枠有り、ア湾においても相応数の残枠有り。
一方、ベ海の資源量は減少傾向であり、来期の枠設定が焦点となってきそうです。
中国在庫については相応数の原料在庫もまだあるようであり、こちらについても今後の相場への影響が
気になるところではあります。
ただ円安傾向は引き続き継続しており、原料安だがイコール製品安となるのか。
比較的需要の伸びる今後の冬期に向け搬入状況に注意していきたいところです。

日米各種指数の推移

各種指数の推移

202310日米各種指標の推移

米国と日本の景況感
7月から8月にかけては米国および日本の景気指数の大きな変化は見られませんでした。
唯一、米国の総合CPIが3.7%と前月より0.5%上昇したことにより、FRBは今後も金融緩和を継続す
ることを決定しました。
9月に4-6月の実質GDPの発表があり、日本は先進国でトップの年利換算プラス6%を記録しました。
これは日本国内でも計算方法が間違っているのではないかと話題になるくらいの高水準で、日本の大手
企業の業績が想像以上に良いことがわかります。
なお、個人消費におけるGDPの伸び率は-0.6%と減少しており、景気の良さが、輸出やインバウンド
増加による外国人の消費から支えられていることがわかります。
日本の6月の実質賃金は-1.6%で15か月連続のマイナス、消費者物価指数は11か月連続の3%越えで
日本人の家計はさらに苦しくなっています。
上記から現状、企業はもうかっているものの利益が個人に還元されていない状態が続いており、好景
気を維持するためには賃上げを継続的に行っていく必要がありそうです。
ドル円為替も直近2か月で急激に円安が進んでおり、9月下旬時点では$1=149円台まで円安が進んで
います。この円安水準は昨年政府が為替介入を行った時よりも安く、今後の政府の動向が注目されます。

用語
日経平均株価指数…日本を代表する上場企業225社の株価の平均値。
S&P500指数…米国を代表する上場企業500社の時価総額を指数化したもの。
CPI…消費者物価指数。末端価格の変動を示す指標。

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