水産マンスリーレポート

  • 採用情報 Challenging Innovator 革新者たちの挑戦

2023年7月号

商品情報

毎度格別なお引き立てに賜り心より御礼申し上げます。
商品情報2023年7月号をお届けします。
TOPICS!!
★くら寿司が中国本土進出!ゼンショーも持ち帰り寿司店を英国/北米で展開するスノーフォックス・
トプコ社を子会社化へ。
★福島第一原発の処理水放出が決定。夏ごろに実施予定。各国の日本産水産物への対応は?
★ホテル飲食「コロナ前」超え。2019年のコロナ前に比べ3.3%増。海外からのインバウンドも加え、
国内旅行客の増加も背景に。食品業界には嬉しい後押し。

国内養殖魚

〇ブリ はまち
2年魚の出荷が本格的に始まり、~K1100円で安値推移中。
産卵も終わり出荷対象魚増加、価格は横ばいになったものの鹿児島長島地区赤潮により、餌止め、出荷
調整で短期的上げの可能性があります、今後の動向に注視が必要です。

〇カンパチ
昨月同様、需要も一旦落ち着き浜値K1250円で推移中。
今後もしばらく横ばいと思われます。

〇真鯛
浜値K900前後と先月から横ばいで推移中。
桜鯛シーズンも落ち着き夏場へ向けて下げの可能性もある状況です。

カ ニ

〇ズワイガニ
・カナダ
4月中旬からオープンしたカナダ産ガルフ地区、順調に漁獲枠が消化されクローズに向かっています。
クローズ時期は当初より延び7月末を予定しています。
一方のニューファンドランド地区、5月末から着漁されましたが6月30日にクローズ。
4/8ozが中心で特にアメリカ向けで引き合いも良好との情報。今後は需要高のため強含みにて推移して
いくと予想されます。

・ノルウェー
現地の在庫は大型サイズ5-8ozが中心でそのサイズ以下は、在庫が一掃された様子です。
大型サイズの荷動きも特にアメリカ、ヨーロッパ向けで好調で在庫の底も見えている状態です。

・ロシア
極東船凍品は4月から漁が開始されました。6月上期に1回目のオークションが韓国釜山で開催されま
した。結果は、為替やサイズ組成の差はありましたが昨年よりも安価で落札。冷凍品を生産する漁船は
限定的の為、今後の搬入に注視が必要と推察します。

中国でも冷凍品の消化が徐々に増加傾向で、更にコロナ明けで外食への意欲も活発になり活ズワイの消
化が旺盛で価格のプライスリーダーとなっています。一方、韓国での活需要は落ち着きを見せ横ばいで
す。ロシア産バレンツ海、新造船を含めて数隻が操業中です。7月については、上述の通りカナダ産/
ロシア産の生産及び入札が始まることから、相場は横這いから若干の弱含みにて推移すると思われます。

〇タラバガニ
ロシア産極東での生産はほとんどなく、バレンツ産大型の搬入が少しずつあるようです。
ノルウエー産、インショア―で漁があり、500~900g/セクションの搬入があります。ノルウエー産漁獲
枠(今期2,380トン)、来シーズンは減枠の見込みとなるようです。7月の相場については産地、国内と
もに大きな動きは無く横這いにて推移するものと思われます。

サンマ

国内棒受け網漁船は例年通りですと、8月中旬に解禁予定です。
現状は台湾の船凍船が、6月に入り4週目までで29隻が出航済み、内18隻が操業を開始中です。
サイズ
2號 6.8%
3號 33%
4號 23%
5號 38%
但し台湾船のサイズはシーズンにより変動します。
例えば同じ2號サイズでも2022年度生産のサイズと今期の新物は選別サイズが異なる可能性も あります。
例)
数年前までの2號サイズ 120~130g/尾
2022年生産 2號の平均サイズ 115g/尾
2023年生産  ???

スケソウダラ

スケソウ市況ですが、EU向けはやはり減少傾向であり、中国にも相応の原料が残っているものと推察。
今月よりベ海操業しております。(ア湾は9月1日~)
日本国内については、スケソウ製品(フィーレ)はタイミング的なことと思われますが、サイズにより
不足感有り。急激な円安傾向もあり、今後の動向が気になるところです。
ただ、原料については相応数(産地は別にしても)あることと思われるため、各社搬入については慎重
な対応をしているものと感じられます。

大西洋/国産サバ原料

・大西洋
先月に変わらず国産鯖の不漁ため、ヨーロッパ現地、日本国内での引き合いも変わらず強いです。
日本以外の国からの引き合いも強くこのまま強含みにて推移していく予想です。
また今期の枠が245,688mtと発表され、その内135,141mtはノルウェー船がUK領域内で漁獲が可能に
なりました。それにより、8月より無理に漁獲しようとせず9月の良品に絞って漁獲が始まると予想し
ます。
製品に関しましては変わらず全体に特に不足感はないため、引き続きこのまま横ばいにて推移すると考
えられます。

・国産鯖
引き続きほとんど纏まった水揚げがございません。
水揚げがあったとしても缶詰用、加工用の引き合い強く高値での相場が形成されています。
今後も水揚げへの期待は薄く、この状況を引きづったまま終漁を迎えそうです。

鮭鱒類

〇チリ銀鮭
6月から横這いにてドレス原料の相場は大きな変動は見られません。今期新物価格の交渉始まるも、
日本側の希望価格と約1ドルの値差があり、新物の成約した会社は今のところありません。
宮城産の生銀鮭が流通している7月前半までは冷凍銀鮭の消費は毎年横ばいから弱含みですが、今期は
紅鮭と銀鮭の値段がほぼ一緒なことから、選択肢の増える消費者の行動によっては今後銀鮭の長期的相
場には注意が必要です。

〇トラウトサーモン
チリ現地での生産数は少ないものの、消費量の落ち込みからか相場が停滞しています。T/Eも現地
からの委託物品が流れており、T/Cとの値差がほぼ無いです。また新規のアルゼンチン産、ペルー産
やトルコ産も流通し始めている為、製品過多により相場状況が混沌としています。

〇アトランティックサーモン
ノルウェー産のフレッシュが大幅に水揚げされ単価下げた為、チリ産も大きく相場が落ち込んでいま
す。船での運搬期間があるため冷凍商材にすぐ影響を及ぼす訳ではありませんが、上記の紅鮭状況を含
めて今後注意していく必要性があります。

ウナギ

〇中国産
価格が高いため日本での在庫滞留が起こっており各商社が価格を下げながら販売を進めています。昨
年多くの在庫を残した量販店は買いに慎重で、販売が思うように進んでいないのが現状です。
小型の尾単価が安い物はまだ動くものの、特に4桁価格の中型以上のサイズの商流が鈍い印象です。
7月からも価格を探りながら各社販売すると思われます。

〇国産
コロナ明けの外食が好調な為、活鰻での流通は相変わらず順調ではあります。
しかしながら上記通り冷凍蒲焼加工向けにて加工屋向け販売が思ったより進んでいないため、動きは鈍
い状況です。

九州産地情報

・サバ
6月水揚げ   2520mt
<各サイズ相場>
230~300g 2500mt   浜値K100~K80円(缶詰・餌)
150~250g  20mt 浜値K70円(餌)

・ゴマサバ6月水揚げ  120mt
<各サイズ相場> 
400~600g 90mt浜値k123円 (鮮魚・缶詰)
250~350g  30mt 浜値K90円   (缶詰)

・アジ
  ●対馬漁場(主に松浦入船) 6月水揚げ 200mt
身質が落ちてきているにも関わらず、高値維持。
<各サイズ相場> 
130~150g  45mt K650~380円(鮮魚・冷凍)
110~130g 50mt k500~340円(鮮魚・冷凍)
100~110g  65mt k340-230円(生切り・冷凍)
85~100g  15mt k250-200円(生切り・冷凍)
60-70g   15mt k125円(フライ)

●東海漁場(主に長崎入船)
  東海漁場広く、漁獲場所により質・鮮度に落差がある。
1日に50mt~150mtの水揚げあり、サイズは70-110gが主体で、
下手漁場505海区は脂がのっているが、その他は身脂がほぼ無い状況。
浜値は質・鮮度により変動し、k350~170円(生切り・冷凍)となっています。

・ブリ
6月水揚げ 15mt
7K物―浜値K290~220円 (鮮魚・冷凍)

サワラ・サゴシ

・中国
大幅な不漁だったため、搬入減となり高値の状態が継続しています。

・韓国
大型サイズは好漁だったものの、小型サイズは中国と同様に不漁でした。

・日本産
各産地とも水揚げが少なく、鮮魚出荷となっています。
凍結在庫は、ほぼ無しの状況です。

・サワラ・サゴシ製品
大型サイズは入荷安定していますが、円安進行のため原価が上昇中です。
中・小型サイズは、不漁だったため入荷数量が減少しています。

冷凍野菜(中国)

昨年に引き続き豆類の不作が目立ちます。グリーンピースやさやえんどう等、降雨による不作のため今
年度も原料価格は高値になります。また、春先に収穫のあった菜の花の値上がりやアスパラ、にんにく
の芽等の原料価格も今年は高値を付けています。7月に新物価格の確定するジャガイモについても、原
料不足が懸念されており、昨年より高値を付ける見込みです。為替も円安が進んでおり、各社値上げの
動きがみられます。
一方で、小松菜、チンゲン菜、ほうれん草などの葉物野菜は在庫過多の商社が散見され、低価格な商品
が出回ってきております。

スルメイカ/アメリカオオアカイカ(中国)

4月に追加のイカ枠発表があり枠不足が落ち着くかと予想されたものの、コロナの外出規制緩和による
バーベキュー需要でイカ製品の引き合いが強くなったこと、国産イカが不良のため各社輸入物に力を入
れていることが原因で枠の不足した状況が続いています。
製品毎の売れ行きを見ると、バーベキューで需要のあるツボ抜き等のスルメ系製品は非常に売れ行きが
良い反面、炒め物や天ぷらに使用するロールイカ等アカイカ製品は売れ行きが悪く、在庫を抱える商社
が多くあると予想されます。
スルメ、赤いかどちらも中国からの提示価格については、資材費などの高騰を理由に強気の設定が続い
ています。

アサリ

水揚げ数量は、先月に引き続きまだまだ養殖面積が過密状態であることより当初想定していたよりも生
育悪く推移中であります。変わらず殻付き41/50以上、剥き身でのLサイズ以上の供給は厳しいと予想
となります。中国国内は先月より活発度が増し、需要に拍車をかけている状態です。
日本国内は、価格面・アソート面から昨年より小型中心に需要形成がされ、価格も高値にて推移してい
くと予想されます。

日米各種指数の推移

各種指数の推移

202307日米各種指数の推移


米国と日本の景況感
米国の5月のCPIは4%と先月の4.9%から大幅に下回りました。米国の物価高騰の鈍化がうかがえます。
5月2日、3日に行われたFOMCでは、米国の今後の政策金利の利上げを鈍化させることを示唆する発
言もありました。日本の総合物価指数については、5月も3.2%と3%台を付け、当初は為替の円安進行
などが影響の一時的なものと言われておりましたが持続的に物価高が続くことも予想されてきました。
日本では植田和男氏が日銀総裁に就任し、金融緩和維持が発表されてからはじわじわと円安が進んでお
り、6月23日時点ではドル円為替は143円と再び150円台を目指す動きがみられます。
日本と米国の景況感について、日経平均株価は6月2日時点でバブル後最高値を付け、その後4営業日
連続で最高値を更新、6月7日時点では3万2700円台まで値上がりしました。その後も高値水準は続き、
6月13日時点はさらに高値を更新し3万3000円台まで上昇しました。その理由としては、①新体制の
植田日銀の金融緩和継続見込み②好調な企業決算と株主還元③東証による資本効率の改善要請への期待
④デフレ脱却への期待⑤海外投資家の消去法による日本株への投資などが挙げられます。しかし、半導
体の需要減や輸入品の価格高騰による仕入原価の圧迫のため、製造業は状況が悪化しており人材採用を
控える動きもあります。また、賃金は上がっているものの物価の高騰がそれを上回り、実質賃金は低下
しており、今後の景気後退を示唆する雰囲気も見られます。
米国経済についてもインフレが鈍化し株価が高騰しており好況のように思えます。しかし、米国の代
表的な指数であるS&P500の現在の値上がりは、GAFAM等の大手テック企業7社のみが牽引しており、
その他の企業は物価高等に苦戦しています。また5月1日には米国のファースト・リパブリック・バン
クが破綻し、今年破綻した銀行の規模はリーマンショック時を上回っており、楽観的にいられる状況で
はないといえます。

用語
日経平均株価指数…日本を代表する上場企業225社の株価の平均値。
S&P500指数…米国を代表する上場企業500社の時価総額を指数化したもの。
CPI…消費者物価指数。末端価格の変動を示す指標。
GAFAM…Alphabet(Google),Apple,Meta(Facebook),Amazon,Microsoftの略。米国を代表する大手テック企業

このページの先頭へ戻る

Copyright© 2010 Suiken Incorporated All rights reserved.