水産マンスリーレポート

2011年9月号 (1/3)

商品情報

まだ厳しい残暑が続いていますが、どこか秋の気配が感じられる季節になってきました。
道東では秋刀魚漁の真っ盛りで、秋鮭も揚がり始め、三陸では烏賊、鯖が揚がっています。
“秋の野に 咲きたる花を 指折りかき数ふれば 七種の花”(万葉集:山上憶良) 秋の七草、中秋の名月等を愛でながら、秋刀魚・秋鮭・烏賊・鯖を食すのは如何でしょうか。
9月号をお届け致します。

青 物

ノルウェーサバ

先行のアイスランド、フェロー諸島がそれぞれ約92,000mmt、40,000mmtを既に枠消化済みです。
品質面で対日には向かないものの他国向けに順調に販売中の様子です。
一方のノルウェーですが、北部で約15,000mmtを水揚げした後、例年漁場で9月からの漁獲本格化待ちです。
スタート価格、水揚げアソートに注目です。(ミニマムプライスの発表は未だなしです)「アイス・フェロー物がノルウェーマーケットをどれだけ侵食したか?」も留意ポイントと思われます。

国産アジ

九州各地及び山陰ともに良質の真アジ原料のフリー玉は、ほぼ無しです。
今後9~10月中旬に掛けての西沖・山陰物に期待しますが浜高の予想です。

輸入アジ

[ 韓国アジ ]
今期は日本同様良質の水揚げ少ない為、搬入量少なめです。
今後、忠武・済州島沖での水揚げが期待されます。

[ 台湾アジ ]
7月中旬より100/130g(尾)主体で水揚げ続きましたが、鮮度面の不安から対日向けはほぼありません。今後も真鯵漁は余り期待できませんが、9月以降の青鯵の水揚げが期待されます。

[ アイルランドアジ(陸凍) ]
現状フリー玉は無しです。新漁は9月中旬よりスタート予定です(国内搬入11月初旬~)。

[ ノルウェーアジ(陸凍) ]
現状フリー玉ほぼ無しです。新漁は10月末よりスタート予定です(国内搬入12月中旬~)。

[ オランダアジ(船凍) ]
需要が高い120~160尾型(20kg)の国内現物はほぼ無しです。
新漁9月末スタート予定ですが、MIN価格が過去最高値(US$1,600up)になる可能性があります。
国内搬入は早くても11月末頃が予想されます。

カットタコ

中国カットダコ

(岩ダコ)
8月に入り殆どの産地で禁漁が明けた模様です。
大方の予想通り浜値は高値スタートとなり、製品単価は禁漁前(6月)と比較し約20%の上げとなっています。この状況を受け、各社新物買い付けに関しては様子見の状況です。
春先の製品相場の底上げで一時的に荷動きは鈍ったものの、夏季需要に伴い荷動きの回復を見せた矢先の高値スタートであり、今後の相場に関しては漁次第といった状況です。
しかし、他産地(ベトナム、インドネシア、フィリピン等)の高値張り付きの状況から考えますと、中国側も強気な姿勢は崩さないのではないかと思われます。

(真ダコ)
岩ダコ同様、真ダコ相場も上がっています。
荷動きは岩ダコと比較しても更に鈍い為、更に価格が高騰するようであれば、今後搬入も自ずと減ってくる事が予想されます。

ベトナムカットダコ(岩ダコ)

昨年並みの水揚げはあるものの寿司種(開き)、タコ唐揚げがメインになっており、ボイルカットダコの生産は年々減少の一途を辿っています。
一番の要因は生産効率であり、ボイルカットダコはパッカー側の採算に合わないようです。
工員の確保も年々厳しくなる中、付加価値が付き、価格の取れる製品にシフトしています。
このような背景から、対日向けのボイルカットダコの搬入は今後も厳しい状況が続くと思われます。

その他凍魚

赤 魚

イルミンガー原料・DAP共に原料高から製品価格を上げてきています。
各社は段階的に値上げをしてきていますが、昨シーズン比から最終的に\100/kg前後まで上げて行きたいところと思われます。
DAP原料は高値ということも有り、国内加工メーカー向けよりも中国向けに多くが回った模様です。
また、製品在庫は各社新物原料よりの製品の搬入待ちとなっており、8月上旬頃から各サイズ品薄傾向です。

い か

スルメイカ(船凍)

ほとんどの船が2航海目を終了しました。
北海道沖北太平洋に漁場が形成され、各船とも好漁の部類に入り、IQF生産が間に合わず、ブロック中心の生産となりました。
但し、型は思ったより大きくならず、ブロックは相変わらず36/40~41/45中心となりました。
このサイズの浜値は下がりましたが26/30以上の中・大型サイズの価格はまだこなれてきていない状況です。
3航海目、各船中大型を求めて日本海側へ向け出漁しましたが、余り漁が芳しく無く、北太平洋に移動したとの最新情報です。

その他イカ

本紫イカ漁は前号既報通り大不漁に終わりました。
また、時期を同じくして着漁していた中国船も殆どの船は漁場を離れた模様です。
こちらも不漁で、今後本紫製品の供給は殆ど無くなっていくことになりそうです。
また、今まで裾物製品原料であった「ゲソ」や「耳」までも高騰しました。
この結果、秋口から僅かに残るこの製品の価格は上昇することが必至の状況になってしまいました。
一方、ペルーいか製品は一時急上昇の気配を見せましたが、現在はやや強含みで推移しています。

ほたて貝

ホタテ貝柱

オホーツク海のホタテ漁は、7月末までに14万トンを漁獲し、折り返し地点を迎えています。
前半戦は天候にも恵まれほぼ計画に沿った操業となりました。(今期水揚げ計画26万8400トン)
製品の中心アソートは依然として3S、4Sサイズですが、Sや2Sサイズの割合も徐々に増えてきています。
放射能問題により懸念された輸出は、対北米向けは順調で大型サイズを中心に引合いが強い状況。この為国内業者は現在、輸出向けのバルク商品を中心に工場を稼動させており、国内向けの箱詰め製品は各サイズ(特に粒単価の安い5S以下)品薄状態となっています。
今後次第に国内製品の品薄状態は解消されると思われますが、輸出が好調な為、相場は底堅く推移するものと予想されます。

ボイルホタテ

昨シーズンのスタート時より浜値4割UPでスタートした今シーズンのボイルホタテ漁は、終盤を迎えています。
製品価格は¥900/kg~(大卸価格)となっており、荷動きは非常に悪くなっています。
今期のボイルホタテはアソートが2L、L、Mサイズで全体の80%以上を占めており、高値・大型と価格訴求が出来なくなっています。
この為2Lサイズは損切りして価格を下げる動きが一時期見受けられました。
ただし、東日本大震災による津波で多くの稚貝が被害を受けており、来シーズンや2年後も減産となることが確実な為、今後は相場の下げは無いものと思われます。

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