2011年5月号 (1/3) | ![]() |
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新緑の皐月です。
“目には青葉 山郭公 初松魚”(江戸時代の俳人 山口素堂の作)。
ゴールデンウィークには、是非とも、鰹(カツオ)、白鮭(トキシラズ)、眼張(メバル)等の旬魚を食したものです。
5月号をお届け致します。
先月号にてもお伝えしましたが、震災と放射能風評被害の影響で、鯖に限らず輸入凍魚の引き合いが益々強くなっています。
ノルウェーサバに於いては、引き合いが大型サイズにも波及し、安値オファーが出難い状況になってきています。
【商社出値】
G6/10kg版k460-470
G6/20kg版k440-450
400/600g k290-300
300/500g k200-210(*300/500gサイズはほぼ払底状態。)
国内加工メーカーは、一斉に製品価格の値上げを唱え出しました。
今後マーケットに受け入れられていくか、これまでにない状況下で、注目です。
例年と比べまだ水温低い為、対馬・山陰漁場のアジ漁は本格化していません。現在西沖・東海漁場で大中アジ主体に水揚げしていますが、卵・白子残しで脂感なく、全て鮮魚向けとなっています。
[ ノルウェー陸冷物 ]
400g up・300/400g型共に現物少なく、大卸相場¥200~220/kgと強含みです。
[ アイルランド陸冷物 ]
昨期は搬入量少なく、ほぼ消化済みです。
[ オランダ・イギリス・ドイツ・フランス船凍物 ]
Channel産は、小型サイズ以外は現物少なく、大卸相場¥190~210/kgと強含みです。
西アイル産は、年明け漁獲物がほぼ搬入終了し、大卸相場¥170~190/kgと横ばいです。
(岩ダコ)
不漁による原料相場の高騰を受け、製品相場も高騰しています。
現地は強気のオファーを崩さず、国内相場も上げの動きが始まっています。
このような状況とGW需要も重なり、国内在庫の荷動きは順調ですが、相場の上げを受けた中での今後の荷動きが懸念されます。
ベトナムの新物も高値スタートが予想され、各社中国産での買い付けが進められている状況です。しかし、中国の原料不足が続いている中、製品相場の上げに拍車が掛かり、しばらく上げ傾向は続く事が予想されます。
(真ダコ)
岩ダコ同様、真ダコの価格も高騰しています。
製品ベースでの上げ幅は岩ダコよりも高く、現地側は100円~150円/kg近い値上げを打診してきています。一旦価格も落ち着き、岩ダコとの価格差が詰まった事により、荷動きも回復基調でしたが、岩ダコ以上の値上げ幅を受け、今後荷動きは鈍化するものと思われます。
ボイルカット、生カット含めて国内フリー玉はほぼ皆無の状況です。
今年の異常気象(平年月よりも気温が10℃程低い)により、雨季の時期が早まり、一部地域では
水揚げがスタートしている模様です。
しかし、依然浜高であり、安定した生産ラインは確保できていない状況です。
中国の原料難を受け、中国からの原料買い付けも一層拍車がかかる事が予想され、高値スタートは避けられそうにありません。
新物の搬入は5月末~6月の見通しですが価格次第では今期も搬入減の可能性は高いです。
アイスランド近海産が前年同月比で半減以下となり、国内原料の引き合いが強くなっています。
日本側に買い負けもあり、色目を気にしないEUへ多くが流れています。
今シーズンからオレンジ、レッドの漁獲枠の魚種区分も影響に拍車を掛けています。
このような原料の不足感から、今後の製品搬入に注意が必要と思われます。
震災後、供給がタイトになり相場は底上げをしました。16/20~26/30まで約200円~300円/箱 上昇しています。
冷凍スルメイカは三陸筋の在庫は今回の災害でほとんどのものが無くなりましたが、八戸在庫品は約80%が無事でした。また、北海道や小木にも在庫はあります。
ただ、やはり全体的には品薄状況になっており、今後もこの状況は続くと思われます。
新漁は先ず、八戸・大畑・函館船団が5月初旬から出漁しますが、当面は紫イカ狙いです。
また、八戸船団は38隻のうち12隻が津波の被害を受け、漁が出来ない状況です。
一方、小木船団は約30隻、こちらは5月末~6月初旬にかけてスルメイカ漁に出ます。
順調にいけば7月には新物搬入となりますが、漁の初めは小型主体で16/20、21/25、26/30サイズの水揚げは今のところ8月以降となる見込みです。
本紫イカは上述の通り5月中旬からの出漁となり、順調に行けば6月~8月にかけて水揚げされると思われます。
製品は現在ロールイカの大型(5~8尾)を中心に品薄状態となっています。
今年2月~3月初旬に纏まって水揚げされた本紫の原料は、恐らくかなり多くのものが今回の震災被害にあったものと思われ、製品の逼迫状態を加速させている状況です。
また、ペルーイカも耳や足など裾物中心に相場は上昇しました。
そして、日本の状況だけでなく東南アジアからのモンゴイカ、アオリイカ、ヤリイカの製品供給も現地不漁などで激減しています。
5月以降の雨季に入れば徐々に解消していくものと予想はされていますが、予断を許さない状況下にあると思われます。
ホタテ貝柱は各サイズ品薄で、サイズによっては枯渇状態のものもあり、高騰相場が維持されています。
今年の新漁は268,400トン(昨年対比90%)で、北見地区漁獲枠は、昨年対比88.7%の144,500トン。昨年は6月初旬STARTですが、団体からの打診で若干早まる見込みです。
稚内地区漁獲枠は、昨年対比91.7%の123,900トン。5月初旬のSTARTの見込みです。
オホーツク海の原貝の成長には流氷が大きな役目を果たします。着岸の時期が長い程原貝の成長に良い影響を与えますが、昨年、今年と着岸する時間が短い為、貝の生育が悪いようです。また、先月から漁場では稚貝ばら撒きの為、造成が始まっています。その造成での結果では3S~5Sが中心との報告です。その為、今年も柱が小さく、剥き作業に手間が掛かると思われ、手間が価格に跳ね返り、新物の価格は高騰すると考えられます。
輸出に関しては、玉冷は海外から問合せが来ており、北海道前浜業者仲間内では時間が経過すれば可能ではと、期待しているとの話しです。
前年比4~5割高と異例の高値が続く今期のボイルホタテですが、東日本大震災の影響による津波の被害が甚大で今後の供給が懸念されています。現在、噴火湾各地にて津波被害を受けた養殖施設の復旧作業が進められていますが、施設によっては出荷できる成貝も残っており、製品として出荷される見込みです。しかし、被害が甚大な地区では水揚げ前の成貝が8~9割、稚貝は全滅となっており、今後中長期に渡って水揚げが期待できない事態となっています。このような環境下、今後は品薄・高値張り付きが確実視されていますが、高値による消費減退も十分考えられますので、注意が肝要です。